当サイトではこれまでもたびたび、現状の不動産クラウドファンディングにおける情報開示義務の範囲では、わかることに限界があるとコメントしてきました。
また、①不動産を裏付けとした投資商品という商品特性、②途中解約できないことや元本棄損リスク、③償還延長リスク、④運営事業者の倒産時には当該サービス全てのファンドに影響が及ぶこと、などの認知が不十分なまま、投資家層が拡大していっているという現状の課題認識を持っています。
2025年3月28日についに、監督官庁である国土交通省により、「不動産特定共同事業のあり方についての検討会」が設置されることとなりましたので、本記事では、概要や議論模様を解説していきます。
2025年に入り様々な問題が起きている状況もあり、スピード感が求められる状況です。6月25日の議論で中間整理が実施されており、今後はそれに基づく規制強化などが待たれるrフェーズです。
投資家保護のためにも、是非スピーディーな対応を期待したいと思います。
なお、中間整理では、1点、「利害関係人取引」についてだけは、大きな抜け穴が残ったように感じます。
現実の不動産業界、不動産クラファン業界では、
「利害関係人」には該当しないものの、実態上密接に連携して、一体となってファンドを運営している事業が複数パターン存在しています。(例えばテクラウドにおけるインベスコアジャパンやAMATUHI、ヤマワケエステートにおいて実態的にファンドの成否を握る協業先の他、複数事業者が行うフェーズ間売買など)
「低価格での売却による不当廉売や、高価格での売却による損失補填を防止する観点から、売却価格の適正性を確保すること」を目的とする場合に、こういった事例が情報開示ルールの対象外になってしまって本当に良いのか、関係者には是非踏み込んだ検討をお願いしたいと感じます。
<本記事更新履歴>
・2025年3月31日:初稿掲載
・2025年6月8日:加筆
第1回検討会の議事模様を
本記事後半に追記しました
・2025年8月2日:加筆
第2回検討会の議事模様を
本記事後半に追記しました
第3回検討会の議事模様を
本記事冒頭に追記しました
2025年6月25日:国土交通省の検討会が「中間整理」を実施
第3回検討会では、提示された「中間整理」案についての合意形成がなされた模様で、最終的に「座長(牛島総合法律事務所 田村 幸太郎氏)」に一任される形で中間整理が取りまとめられ、今後の規制強化等につながっていく見込みです。
当記事では、中間整理の内容とその影響、抜け穴や懸念点について解説します。
1.一般投資家向けの情報開示の充実
非常に重要な内容で、以下の内容が整理されています。
(1)契約前書面における記載事項の拡充
① 想定利回りの根拠
② 対象不動産の価格の妥当性、不動産鑑定評価をとっていない場合はその理由
③ 利害関係人取引における取引価格の妥当性
④ 出資金の使途
⑤ 開発等を伴う商品の場合は、その内容
(2)運用期間中における提供情報の拡充
① 出資金の使途の実績
② 開発等を伴う商品の場合は、その進捗状況
これらがしっかり規制ルールに盛り込まれれば、これまで当サイトで課題や懸念を感じるファンドの多くの課題は解消されます。
是非、早急にこれらを盛り込んでもらえれば、と思います。
期待効果
(1)の②と④については、これまで、
市場価格より高価な価格で取得しているのではないか?といった疑念や、不動産取得額に対して、過剰な出資額を募集しているのではないか?といった懸念を持つケースがありましたが、これらが解消されることになります。
(2)①②が加わることで、運用中に当初の資金使途通りに計画が進んでいるのかを投資家が検証できるようになります。
楽待でも記事になった、
テクラウド社が海外で建物を建てるとしていたが建てていなかった問題の他、ヤマワケエステートやダーウィンなどでも、
建てるとした建物が完成していない、といった指摘が起きていますので、そういった事態が投資家の気付かないままに進んでいる、といったことが抑制できるというのは大きいのではないでしょうか。
(1)⑤についても、ヤマワケエステートで散見されるような、キャピタル型案件だが、
一体何をして事業収益を得るのか説明がないファンドなどは、今後、その事業内容を明確に説明することが求められるようになります。
蓄電池案件のように誰がどのような役割を担うのかよくわからない事業も、今後は明確な使途説明が求められるようになりますので、現在乱立されているスキームについては、見直しが入ることになるのではないか、と思います。
残る懸念点
(1)③の利害関係人取引については、かなり抜け穴が残ることを懸念します。
国土交通省が念頭に置いていたであろうみんなで大家さんのように、利害関係人との取引においては効果があるのかと思いますが、現実的には、
利害関係人ではないが、関係性が強い企業と、複数の案件で継続的に取引が生じている事例があります。
不動産会社では、オーナー社長が複数の資本関係のない企業を立ち上げて運営しているケースなど良くある話ですので、特に注意が必要ではないでしょうか。
例えばテクラウド社では、ファンド運営企業の役員が社長を務める会社との取引を、「利害関係人取引に該当しない」と整理しており、この規制ルールは適用されない懸念があります。
別記事で解説していますが、それ以外にも
人的なつながりがある企業と複数のファンドで継続的に取引を繰り返しています。
ヤマワケエステートにおいても、実態として協業先がファンド運営の成否を担いようなケースが実態として存在していないでしょうか?
これらについても利害関係人取引に類する行為として規制対象としないと、規制に大きな穴が開いてしまうのではないでしょうか?
中間整理案の中では、「対象不動産を利害関係人に売却する場合等には、」と、「等」という表現が残っていますので、是非、より踏み込んだ議論を検討いただきたいと感じました。
2.対象不動産の売却価格等における公正性の確保
中間整理では、以下の提案がなされました。
①不当廉売や損失補填を防止するため、償還時に対象不動産を利害関係人に売却する場合等は、原則として、証券化対象不動産としての不動産鑑定評価額に即した価格での売却を求めてはどうか。
これは非常に大きいですね。
証券化対象不動産では、原則収益還元法(DCF法)での鑑定評価が求められますので、利害関係人への売却時には、不動産鑑定士が算出する価格前後でしか売却ができなくなるわけです。
投資家にとってはデメリットもあり、これまでは実態上事業者が損失補填ができてしまっていたようなケースで、投資家に損失負担が生じてしまう可能性が出てきます。
とはいえ、これにより市場がより透明になり、適正な運用がなされることで得られるメリットの方が大きいでしょう。
投資家にとってはこれまで以上に投資先事業者や対象不動産を見極めることが必要になりますので、不動産を全く知らない一般投資家にとっては、ハードルが少し高くなるかもしれませんね。
なお、これにも先ほど記載の「利害関係人取引」に限定するという大穴があいていますので、是非その穴をふさぐ検討は継続いただきたいところです。
3.行政による監督の充実
この項目で盛り込まれたのは以下の2点。
① 毎年実施している証券化実態調査の調査項目・開示項目の充実、調査結果の監督への活用
② 国も参画した立入検査や国から都道府県への技術助言等の積極的な実施(難度の高い事案等)
。。。なんというか、もう少し行政側の踏み込んだ監督などを検討して欲しかったのですが、随分控え目ですね。
いっそ、金融庁との共同監督にして、金融庁のノウハウを持って事業者の報告徴収や検査をするくらいに踏み込んでもらえると、業界の変革スピードが上がりそうですが、一旦は国が都道府県への支援をするあたりの実効性を期待したいと思います。
4.業界団体との連携による自主ルール等の検討
いろいろ書かれていますが、不動産クラファン業界は1枚岩ではないので、自主規制導入までには、かなり時間がかかる気がします。
そもそも不特法事業者といっても、クラファンでやっている匿名組合型と、対面でやっている任意組合でも全く別物ですし、団体も2つ併存していますし、事業内容も全く別物です。
もちろん、この中間整理に沿って議論自体は進められるのだと思いますので、1年以内くらいにまとまることを願いたいと思います。
2025年3月28日:国土交通省が検討会を設置する旨を報道発表
不動産クラウドファンディングは「不動産特定共同事業法(以下、不特法)」に基づき提供されており、その監督官庁は国土交通省となっています。
その国土交通省が2025年3月28日に、
一般投資家の参加拡大を踏まえた不動産特定共同事業のあり方についての検討会の設置についてという報道発表を実施しました。
国土交通省の報道発表内容
発表内容を以下に引用していますが、「
多くの投資家が参加する状況なので、トラブルをより抑制するために、情報開示の拡充やサービスの有り方を議論し、その結果を踏まえて制度の見直し(規制強化など)を行う」という方針だと読めばよいでしょう。
一般投資家の参加拡大を踏まえた不動産特定共同事業のあり方についての検討会の設置について
~一般投資家向けの情報開示の充実等について検討~
投資家からの出資により不動産の運用を行う仕組みである不動産特定共同事業は、不動産の流動化等を目的として1995年に創設されて以来、商品数・募集総額ともに拡大傾向にあります。近年では、電子的に取引を完結する「不動産クラウドファンディング」などにより一般投資家向けに投資を募集する商品が拡大するなど、従前に比べて、不動産特定共同事業に参加する投資家層に変化がみられています。
こうした環境の変化を踏まえ、一般投資家向けの情報開示の充実の必要など今後の不動産特定共同事業のあり方について検討を行う検討会を設置いたします。
○今後の予定
4月下旬 第1回検討会開催
※開催日時が決まり次第、改めてお知らせします。
国土交通省の報道発表資料(別添2)を確認すると、不動産クラウドファンディングの投資家層はのべ20万人を超えています。
これだけ参加者が広がると、不動産投資に関する知識がない、投資初心者層の参画を前提とした規制や開示ルールへの見直しが必要になるのではないか、ということでしょう。
別添2 不動産特定共同事業への一般投資家の参加拡大
さて、検討会の体勢を確認しましょう。
「メンバー」を見ると、シンクタンク、法律事務所(弁護士)や不動産鑑定、公認会計士、消費生活アドバイザーで構成されています。
不動産業界の業界団体の名前が3団体あがっていますが、あくまで「オブザーバー」であり、求められれば情報提供などを行うのでしょうが、議論の結論には関われない立場、という位置付けですから、一般投資家視点での議論がなされることは期待できそうです。
別添2 検討会の実施体制
管理人個人としての期待
現在の不動産クラウドファンディングには投資商品として良い面がある一方、現状の業界状況では、いくつかの課題も見えてきていると感じています。
今後の議論を期待したいところですが、個人的に期待したい論点を参考にコメントさせていただきます。
1.不動産が配当を生む仕組み(事業シナリオ)に関する情報開示の充実
一部の事業者では、ファンドがどのように収益を生む計画なのか、ほとんど説明がされていないケースがあります。
それでなぜ投資家が投資判断するのか、という投資家側の意識の問題もあると感じますが、まずは業界側がしっかり情報発信すべきと、義務付けることで改善が図れるのではないでしょうか。
2.一定額以上の募集時の第三者鑑定評価取得と開示の義務化
鑑定評価はシンプルなレジでも20万円などの費用がかかるため、少額ファンドで取得することは現実的ではありませんが、現在の不特法では、10億円のファンドでも100億円のファンドでも、鑑定評価の取得や開示が義務付けられていません。
CREALの場合は数億円前半規模のファンドでも取得、開示していますので、例えば10億円以上の資金調達時は鑑定評価取得義務を設定する、などであれば、利回りの大きな低下などに直結せず、取得価格・売却価格の透明性に寄与するのではないでしょうか。
3.リファイナンス時等の価格根拠の説明義務の強化
キャピタル型で、収益を現在生まない物件をフェーズ2、3などにリファイナンスするタイプのファンドでは、継続ファンドが、当初ファンドよりも高値で不動産を買い取る構造となっているケースが散見されます。
この際には「ファンド間売買」という、利益相反関係が生じる状態が生じているのですが、不特法においてはこの際の売買価格根拠の説明がほとんどされていません。
「
不動産クラウドファンディングでポンジスキームは可能か?」という記事でも記載しましたが、リファイナンスの際に実際の市場価格より高い価格であるかのチェックがされないと、実際には損失が発生しているファンドが、リファイナンスにより損失が顕在化せず資金調達額がふくらんでいくことを止められません。
対案としては例えば、ファンド組成時に、「フェーズ1では、●●という条件を満たすことでバリューアップすることで、フェーズ2に●●億円で売却をめざす」など、ファンド組成時に宣言することを義務化することなどで、一定の抑止効果が得られるのでは、と感じます。
想定外の市況の変化ももちろんあるでしょうが、その際は市況変化による価格影響なども説明することで対応するイメージです。
4.リスク説明義務の強化
今回の騒ぎでわかったことは、「投資家は、契約書や重要事項説明などの書面を全く読まない」という可能性も考慮する必要がある、ということです。
元本棄損や遅延リスクは、書面を読めば書いていることなのですが、「安全」だと誤認している方が複数存在していることが今回確認されたと感じています。
クラウドファンディングはオンライン上で投資が完結するという特性があるため、インフルエンサーやアフェリエイターからのPRを信じて詳しく知らないまま投資してしまうケースや、ポイントサイトからポイント目当てで軽い気持ちで投資してしまうのかもしれません。
これは正直、どこまでやるべきかという問題がありますが、例えば、投資応募ボタンを押す際に必ず、「元本棄損リスクや償還遅延リスクがある投資であることを確認した」みたいなチェックをしていただく、など、重説を読まない人でもリスクがゼロとは誤認しないようなフローを義務付けることで、改善できないでしょうかね?
ここで書いたところで、検討会メンバーに届くものでもないのですが、今後意見公募の機会があれば、意見提起を検討しようと思います。
2025年3月31日:不動産クラウドファンディング協会も自主規制ルール等の検討へ
国土交通省の動きに呼応する形で、2025年3月31日に、一般社団法人不動産クラウドファンディング協会から、
不動産クラウドファンディングの適切な運営及び投資家の皆様からの信頼確保に向けた取組についてというプレスリリースが発出されました。
プレスリリース内に「今般の償還遅延等の問題」との記載がある通り、ヤマワケエステートで発生した償還遅延問題を受けて、大きく以下3つの取組を推進する、との方針の宣言となっています。
・リスク管理の強化: 事業者に対し、リスク説明や償還計画に関する一定の基準を提示
・情報開示の強化: 事業者の運営の透明性向上を目的とした情報開示に係るガイドラインの制定
・投資家保護の枠組みの整備: 投資家への適切な対応を促す業界指針の策定
この検討は、国土交通省の検討会とは並行して検討が進められることになるでしょう。
一般社団法人不動産クラウドファンディング協会とは
今回発表を行った「一般社団法人不動産クラウドファンディング協会」の「目的」を確認しますと、以下の内容となっており、業界ルール・ガイドラインの制定は目的の一つとなっていました。
2023年8月に設立された団体ですが、これまではその目的が達成できないままに来ていた状態であり、結果として、国土交通省による検討会設置が行われれています。
なかなか一枚岩になりきれない業界特性はあるのだと思いますが、今度こそ危機感をもって、自主的な投資家保護ルールの制定、実施徹底を進めてもらえることを期待したいところです。
不動産クラウドファンディング業界の信頼性・透明性・認知度の向上に寄与する活動を行うことで、業界発展拡大に寄与することを目的とし、次の事業を行う。
1.不動産クラウドファンディングデータベースの公開・更新
2.不動産クラウドファンディング業界のマーケットレポート・ホワイトペーパー等の定期的な開示
3.不動産クラウドファンディング業界ルール・ガイドラインの制定
4.ブロックチェーン、STO(セキュリティ・トークン・オファリング)の活用可能性の研究
5.その他当法人の目的を達成する為に必要な事業
6.前各号に掲げる事業に附帯又は関連する事業
不動産クラウドファンディングに関わる業界団体って、どんな感じ?
「不動産クラウドファンディング」に関する業界団体は多くの団体が存在しています。
以下「一般社団法人不動産クラウドファンディング協会」と「日本不動産クラウドファンディング協会」設立や統合までの時間軸を見ていただくと、業界内でも主導権争いというか方針の違いがありそうな業界、という雰囲気が感じられてしまいますね。
一般社団法人不動産クラウドファンディング協会
2020年3月27日に発足し、同年より開催された国土交通省の「不動産特定共同事業(FTK)の多様な活用手法検討会」にもオブザーバー参加している団体です。
理事には青山財産ネットワークやADワークス、サンフロンティア不動産といった、主に相続対策などに利用される任意組合型ファンドを組成する企業の他、不動産クラウドファンディングを運営するCREALも名前を連ねています。
正会員は30社弱と、歴史と国交省との対話の機会はあったものの、会員数は比較的少な目です。
一般社団法人不動産クラウドファンディング協会
2023年8月にCREAL、トーセイ、ADワークスを中心に発足した不動産クラウドファンディングに特化した業界団体で、2025年3月末時点で正会員が40社弱と、比較的多数の不動産クラウドファンディング事業者が会員となっています。
日本不動産クラウドファンディング協会
2023年11月にCOZUCHIを運営するLAETOLIと利回り君を運営するシーラテクノロジーズを中心に発足した業界団体ですが、2024年9月に一般社団法人不動産クラウドファンディング協会に統合されました。
ヤマワケエステートはひっそりと団体から退会に
本プレスリリースと同日、
ヤマワケエステートの退会も公表されています。
退会理由は明記されていませんが、一般社団法人不動産クラウドファンディング協会が実施したプレスリリース内に「今般の償還遅延等の問題」との記載があることからも、今回の償還遅延や情報発信がなんらかのきっかけになったのかもしれません。
2025年4月下22日:第1回検討会開催
議事概要が公開されていますが、議事概要の「総論」には、以下の記載があります。
・不動産クラウドファンディングは非常に拡大し、
一般投資家が多く入ってきている実感があり制度の充実を図るべき。
・一般投資家の参画が増える中、
いわゆる「破綻必至商法」をどのように防ぐのかという観点も重要である。
・クラウドファンディングは、地方創生等の観点から事業を応援したいという一般投資家もいると思われ、
どのような商品か十分に理解して利用できる仕組みにすることは重要。
・様々な内容の商品があり、内容に応じた規制を検討していくことが重要。不動産特定共同事業は、老朽アセットの開発・改修を通じた地方創生などへの貢献も期待されるので、推進と保護のバランスを取りながら健全なマーケットを形成していくことが必要。
大枠としては、一般投資家(不動産のプロではないという意味でしょうか)に向けた「制度の充実」や、「商品が理解できる仕組み」を作る、というのはわかりやすい論点ですね。
一方で、「破綻必至商法を防ぐ」という論点が設定されています。
この点についてはヤマワケエステート等の償還遅延や期間延長の問題ではなく、別のテーマを指すようですので、後述します。
また、「一般投資家への情報開示の充実」もかなり詳細に議論されており、以下のような点を議論されています。
・開発/改修型ファンドに対応した開示項目の充実
・価格規制
・ハイリスク案件に付随するハイリターンの十分な説明
・出資金の使途の説明
・利害関係人取引の詳細
・利害関係人取引時に不動産鑑定評価に準じた価格とする
・利害関係人取引がある場合、更にその先の取引先との取引
・事業の実態がありそうか否かをみわけやすくする開示情報の充実
・運用情報発信頻度を上げる
業界にとっては劇的な影響がありますが、正直、これらほとんど全部やるべきじゃないですかね。
資金使途などはもともとルールにあるものが形骸化しているという課題感を持っていますので、今更感が大きいですね。
ルールを変えるといった議論をする前に、今のルール内で、行政の監督方針に反映するくらいのスピード感があって良い気がします。
利害関係人取引については、フェーズ間移行案件が多いCOZUCHやVictory、わかちあい、トモタクなどには影響が大きい可能性も感じますが、このタイミングで手を付けないと、透明性は確保できないのではないでしょうか。
破綻必至商法とは?
「
2025年6月5日 衆議院 消費者問題に関する特別委員会」において、国土交通省の検討会や、この破綻必至商法についての質疑がありました。
その模様の中で触れられていることを抜粋記載します。
・破綻必至商法とは何を指すのか?(国土交通省回答)
事業の実態がないにも関わらず、金銭出資等をすれば、事業の収益により一定の期間経過後に金銭その他の経済的利益の配当等を行う旨を示して消費者を勧誘し、多数の消費者に金銭出資等をさせ、そのため
新たな消費者を勧誘して金銭出資等をさせ、当該金銭出資等を原資として、先行の出者への配当等を継続的に行わざるを得ないスキームを指す
・国土交通省は、破綻必至商品があるとの考えなのか?(国土交通省回答 抜粋)
仮に事業の実態がないことなどが
疑われる実態がある場合には立ち入り検査などを行うものと考えており、実際に立ち入り検査を行った実績はある
また、上記の質疑において、尾辻議員からは、不特法で事業の実態がない可能性があるものや、注視すべきものとして、以下のような事例について質問や依頼が投げかけられています。
・ゲートウェイ成田の土木工事の進捗等の問題
・バナナの生産がないという報告がある問題
・データセンターが本当にあるのかという問題
・海外のホテル事業、住宅事業は、都道府県には確認する術がないという問題
・グループホーム案件は不特法でも案件があるので注視して欲しいという指摘
不動産クラウドファンディングにおいて「破綻必至商法」が常態化しているとは全く思っていませんが、一部でそのような可能性が取り上げられていること自体は理解する必要があります。
こういった状況を踏まえ、
投資家自身が投資先サービスや事業の中身をしっかり見ていく必要がある、と捉える必要があるのでしょう。
2025年6月3日:第2回検討会開催
第2回の議事要旨を見ると、事業者の立場での反対意見もあり、以下のような議論がされたようです。
・利害関係人が取引によって取得した資金の使途については、事業者の利益を開示することにもなりかねず、どのような開示が求められるのか懸念する声があった
・開発・改修を伴う商品については、どうしても想定に想定を重ねて算出しているところがあり、事業費の開示まで求めず、リスクが比較的に高いということを表示させるのも一案
うーん、事業者側がこういったことを言いたくなる気持ちもわかるのですが、現状を考えると、事業者の理屈よりも、投資家保護の観点での整理が必要ではないですかね?
今後想定される動き
ステップ1:複数回の検討会を経て、議論結果を総括
ステップ2:議論結果を踏まえ、
施行規則や
施工令、
監督にあたっての留意事項などを改訂、施工
鈴木 万里夫(仮)
株式投資歴20年以上を経た後、株式・投資信託との分散投資先として不動産クラウドファンディング投資をスタート。
不動産クラウドファンディング投資実績30ファンド / 3,000万円以上。今後もコンスタントに年間10ファンド程度に分散投資を継続予定。
投資検討のために自身が欲しい情報を集約できる投資サポートサイトとしてInvestor’s EYEを企画し、現在管理人として運営中。
【保有資格】 不動産証券化協会認定マスター / 宅地建物取引士