【2025/8/4追記】直近償還されたAMANEKU関連ファンド2ファンドの建物売却先が確認できたため、
追記しました。
【2025/8/12追記】2024年7月以降の国内運用終了ファンド全案件を調べたので、
追記しました。
【2026/4/16追記】2026年4月15日時点の国内ファンドの売買等取引一覧を洗い出しましたので、別記事にまとめました。
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TECROWの国内ファンドの取引一覧(特定企業との相互取引 / ファンド組成前の転売事例)
テクラウド83号ファンド、64号ファンドに関する不動産取引の懸念点
テクラウドの83号ファンドは、2024年7月にファンド組成し、既に運用を終了した64号ファンドの隣接地となっており、どちらも土地も同じ所有者がもともと持っていた土地です。
登記簿からこの土地の所有権譲渡の流れを確認できたため、ファンドの募集開始を含めた自系列推移を整理したのが、次の表になります。
83号ファンド、64号ファンドに関わる土地譲渡推移
インベスコアジャパン社は、テクラウドを運営するテクラ社の取締役が代表取締役を務める企業(2025年7月10日時点)です。
利害関係人に該当するかについては後述しますが、この流れで気になる点が2つあります。
1つ目は、
テクラ社役員の運営する企業が、64号ファンドの募集開始の翌日に対象不動産を取得し、64号ファンドに土地を貸す賃貸人となっている点です。
この土地取得価格や賃料情報は開示されていませんが、投資家の出資金の支出に関わってくるものですので、
ファンド出資者にとっては、利益相反関係にあります。
この価格が公正妥当な価格であるかは、本来厳しく問われるべき内容ではないでしょうか。
2つ目に、
64号ファンド組成のタイミングでインベスコアジャパン社が取得した取得した土地を、1年後に84号ファンドに転売している点です。
インベスコアジャパンがこの転売によりどれだけの利益を上げたかは開示されていませんが、これも同じく、ファンド出資者にとっては利益相反関係にあります。
この価格妥当性についても、厳しく問われるべき内容だと感じます。
管理人としては、このようにグループ会社間でファンドに関わる売買を行うことは望ましいとは考えません。
ましてや、64号ファンドのように、募集開始の翌日に土地を取得することで、契約成立前書面等の書面には土地所有者としてインベスコアジャパン社の名前が掲載されなくしている、といった疑義が生じるような土地譲渡は行うべきではないのではないでしょうか。
「李下に冠を正さず」という言葉がありますが、不動産クラファン運営事業者は、投資家の大切な出資金を預かり、運用する立場であり、高い倫理観と公正性、透明性が求められる立場であって欲しいと願っています。
このように投資家の疑念を持たれるような取引は、本来避けるべきではないか、と感じますが、みなさまの心象は、いかがでしょうか?
AMATUHI社との関係においても気になる点が
なお、この83号ファンド、64号ファンドは、AMATUHI社が運営するグループホーム用の建物を建築するファンドです。
この点でも、複雑な商流となっており、気になる構造が生じています。
というのは、AMATUHI社は、グループホームの建築を担うゼネコンのような役割も担っています。
実際、64号ファンドで建築した「AMANEKU川崎下麻生」は、
AMATUHI社のサイトを見ると、自社施行実績の中に掲載されています。(2025/7/10時点)
かつ、この建物を利用するのは、AMATUHI社です。
つまり、AMATUHI社は、
・64号ファンドの出資金から建築請負費用を受け取り
・64号ファンドで完成した建物を利用する賃借人にもなる
という、複雑な商流になっています。
ファンドにとっては、複数の意味でファンド運営に関わる重要な企業となっていますので、この建築請負費用の妥当性などについても、情報開示をより充実させてもらいたいと感じます。
テクラウド75号ファンドでも類似の懸念点
83号ファンド、64号ファンドでも関係者として登場したAMATUHI社ですが、75号ファンドでは土地の売買にも関わっています。これを整理したのが次の表です。
75号ファンドに関わる土地譲渡推移
正直、
ファンド組成の2ヵ月弱前に土地を取得し、それを75号ファンドに短期転売している企業が、上述の64号、83号ファンドにも関わっているAMATUHI社であるという状態には、やはり商流の不透明さを感じてしまいます。
AMATUHI社は、前述のテクラ社の取締役、インベスコアジャパンの代表取締役が監査役を務めており、直接的な支配関係はないと言えるのかもしれませんが、このように多様な案件で商流に関わってくることからは、緊密な関係の企業だと感じます。
そういった企業がファンド組成の2ヵ月前に不動産を取得し、ファンドに転売するようでは、その取得額が妥当であったのか、不安に感じる投資家も出てくるのではないか、と思います。
AMANEKUの購入者もAMATUHI社?
テクラウドを通じて開発した障がい者グループホームAMATUHIですが、ファンドで投資家に元本償還を行うためには、不動産を売却する必要があります。
では、この物件は誰に売却しているのでしょうか?
2025年8月4日時点で直近でファンドを償還している67号ファンド、70号ファンドの物件の売却先を調査してみました。
結果としては、調査した直近2物件はAMATUHI社に売却していました。
つまり、AMATUHI社は、以下のように3つの立場でファンドを活用しているようです。
1)ファンドから建築委託費用を受け取って建物を建築
2)建物完成後は物件を購入
3)完成した建物を活用して障がい者グループホーム事業を運営
67号ファンドで動いている金額はテクラウドの公式サイトに想定金額が記載されていますが、以下の通りです。
テクラウド67号のお金の流れ
関連資料も以下に掲載します。
AMATUHI社公式サイトにおける「施行実績」
テクラウド67号・70号で建築し建物登記簿
TECROWD 国内運用終了ファンド(2024年7月31日以降)全案件の商流調査結果
ここまで調べてみて、インベスコアジャパン、AMATUHI社との取引が多いことが気になりました。
そこで、
特定のファンドだけをピックアップするのではなく、2024年7月31日以降運用終了分の国内ファンド全てについて調査してみました。
結果としては、売り主または買主に、「インベスコアジャパン」「AMATUHI」「複数案件でテクラウドファンドとの売買に関わった企業」が関与していました。
不動産では、懇意な取引先との関係が継続することはあるのですが、ファンドが対象不動産を取得する少し前に当該企業が不動産を先に取得し、ファンドに対して売却することで転売益を得ているケースが多い点は気になる点です。
特にAMATUHI社は、AMANEKUに関しては、①建物の建築請負代金を受け取る、②建物の利用料を払う、③ファンド運用終了後に建物を購入する、と、商流に複数回関与している一方で、75号 「大阪市 四つ橋なんば駅前ビル」では15億円規模の不動産転売を実施しており、利害関係人には該当しないとしても、取引価格の妥当性などについて説明されることが望ましいと感じます。
| ファンド名 |
募集額 |
運用終了日 |
ファンド売買等関係者 |
確認日 |
| 32号「AMANEKU平塚徳延」 |
72,100,000 |
2024/7/31 |
土地の売主がインベスコアジャパン |
2025/8/8 |
| 56号「AMANEKU八王子川口町」 |
1,251,100,000 |
2024/8/23 |
買主がAMATUHI |
2025/8/12 |
| 58号THE SECOND PREMIUM Ito |
429,100,000 |
2025/3/10 |
不動産の売主はインベスコアジャパン 買主は大阪データセンタービルに所在 買主は73号の土地の売主 |
2025/8/8 |
| 49号 ZONE shinsaibashi west |
370,200,000 |
2025/3/17 |
不動産の売主はインベスコアジャパン |
2025/8/8 |
| 43号 ZONE shinsaibashi west |
370,200,000 |
2025/3/17 |
不動産の売主はインベスコアジャパン |
2025/8/8 |
| 42号 ZONE shinsaibashi west |
493,600,000 |
2025/3/17 |
不動産の売主はインベスコアジャパン |
2025/8/8 |
| 65号「AMANEKU千葉加曽利町」 |
765,100,000 |
2025/4/30 |
買主がAMATUHI |
2025/8/8 |
| 67号「AMANEKU千葉大木戸町」 |
325,800,000 |
2025/6/10 |
買主がAMATUHI |
2025/8/4 |
| 70号「AMANEKU町田野津田町/葛飾東金町」 |
910,900,000 |
2025/6/30 |
買主がAMATUHI |
2025/8/4 |
| 68号「AMANEKU葛飾東金町」 |
507,700,000 |
2025/7/10 |
登記登録中 |
2025/8/8 |
| 64号「AMANEKU川崎麻生」 |
32,1900,000 |
2025/7/10 |
登記登録中 |
2025/8/8 |
| 71号「AMANEKU千葉矢作町」 |
392,900,000 |
2025/7/20 |
TECRA社保有のまま |
2025/8/8 |
| 45号「AMANEKU加須大門町」 |
55,800,000 |
2025/7/31 |
登記登録中 |
2025/8/12 |
| 75号 「大阪市 四つ橋なんば駅前ビル」 |
1,541,300,000 |
2026/8/20 |
不動産の売主はAMATUHI |
‐ |
| 73号 宮城県角田市 系統用蓄電池発電所 |
1,423,900,000 |
2027/1/10 |
土地の売主は58号の買主 |
‐ |
利害関係に該当しない、としている点について
不動産特定共同事業法においては、「
不動産特定共同事業の監督に当たっての留意事項について」において、監督に関する考え方が公開されています。
それによると、「利害関係人」の定義は、以下の通りとなっています。
イ 当該不動産特定共同事業者
ロ 金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第31条の4第3項に規定する親法人等
ハ 同条第4項に規定する子法人等
ニ 不動産特定共同事業者が金融商品取引法施行令第15条の16第4項に規定する他の会社等の関連会社等である場合における当該他の会社等
ホ 金融商品取引法第29条の4第2項に規定する主要株主
ヘ 役員及び使用人
ト イからヘに掲げる者が総株主又は総出資者の議決権の過半数を保有している法人
チ イからヘに掲げる者とアセットマネジメント関連業務委託契約を締結している法人(業務を委託している他の特例事業者を含む。)
これだけだと、「議決権」を持っていないと、代表取締役だろうが、利害関係人には該当しないようにも見えます。
つまり、83号ファンドで土地をファンドに売却するインベスコアジャパンは、利害関係人として記載する必要はないのかもしれません。
しかし、上記が参照している「
金融商品取引法施行令」を見ると、以下のような定義もあります。
(特定主要株主の子法人等の範囲)
第十五条の十六の二 法第三十二条の二第二項に規定する政令で定める要件に該当する者は、次に掲げる者とする。
一 その子会社等
二 その関連会社等
2 前項第一号の「子会社等」とは、親会社等(他の会社等(会社、組合その他これらに準ずる事業体をいい、外国におけるこれらに相当するものを含む。以下この条において同じ。)の財務及び営業又は事業の方針を決定する機関(株主総会その他これに準ずる機関をいう。以下この項において「意思決定機関」という。)を支配している会社等として内閣府令で定めるものをいう。)によりその意思決定機関を支配されている他の会社等をいう。この場合において、親会社等及び子会社等又は子会社等が他の会社等の意思決定機関を支配している場合における当該他の会社等は、その親会社等の子会社等とみなす。
3 第一項第二号の「関連会社等」とは、会社等(当該会社等の子会社等(前項に規定する子会社等をいう。以下この項において同じ。)を含む。)が出資、取締役その他これに準ずる役職への当該会社等の役員若しくは使用人である者若しくはこれらであつた者の就任、融資、債務の保証若しくは担保の提供、技術の提供又は営業上若しくは事業上の取引等を通じて、財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる他の会社等(子会社等を除く。)として内閣府令で定めるものをいう。
現状の不特法の監督ルールでは仮に「利害関係人」に該当しないとしても、「意思決定機関を支配している場合」、いわゆる関係でいう実質支配基準に該当はするのではないでしょうかね?
そういった企業が土地をファンドに転売する、といった形態には、厳格な規制があるべきではないか、と感じます。
現在、国土交通省では、「検討会」が開催されていますので、是非こういった点も踏まえたルール改善を望みたいところです。
補足:83号ファンド、64号ファンド、75号ファンドの実際の登記簿情報
本記事に記載の土地の売買履歴は、登記簿情報を元に整理しています。
登記簿は誰でも取得可能な情報ですが、過去の所有者など、ファンドとの関係がない「個人」情報は伏せた形で掲載しますので、参考にご覧ください。
83号ファンド、64号ファンドに関わる登記関連情報
75号ファンドに関わる登記関連情報