系統用蓄電池用地とは?
データセンター用地転売ファンドとして、サービス開始当初から10億円以上の資金調達に成功したFUNDIですが、4号ファンドは、系統用蓄電池ファンドと、これまた投資家に流行り出したキャッチーな事業パターンのファンドを組成しました。
「系統用蓄電池」とは、電力の需要と供給を平準化するために市場取引される電力を提供するもので、中国などの電池コストの低下により、投資商品としての期待利回りが高くなると、投資商品としての注目を集めていたりします。
基本的には、①電力系統との接続ができ、②大型電池を運び込んで設置できるる、という条件を満たす土地を、できるだけ安く仕入れることで投資商品としての利回りを上げるもので、一時期の太陽光発電のように、投資商品として注目を集めているものです。
ただ、事業の構造としては、不動産投資、というより、「電池」と「系統用蓄電池としての運用を行う仕組み」に対する投資商品と見る方が良いと思います。
本ファンドの資金使途は?
正直、公開情報からは、全く読み取れません。
契約成立前書面を見ると、
「土地」の価格として、「536,850,000円」となっていますが、この立地の土地で、200坪強でこの土地価格は考えにくいと考えます。(系統用蓄電池用の土地として、坪単価260万円の土地を選ぶ理由はないでしょう。)
FUNDIの公式サイトを確認すると、以下の記載がありますので、その担保設定に関する費用はファンドが購入する土地価格に上積みされている可能性があるかもしれません。
ただ、公式サイトの情報からは、その担保設定によって投資家のリスク抑制を実施しているように見えますが、それはFUNDIと投資家間の匿名組合契約(出資契約)上明記されておらず、かつ、担保設定に関する契約条件やリスクなども把握することができませんでした。
本ビジネスに関連する契約やスキーム情報がなく、
投資家とFUNDIが締結する契約においては、「土地を536,850,000円で買う」という説明があるのみで、事業スキームがブラックボックスの状態である、と管理人は感じます。
資金使途や、関連契約などについての情報開示がない中では、投資家に本ファンドのリスクや事業スキームを理解することは難しく、管理人としては、現時点(2025年2月18日時点)での情報開示内容からでは、投資判断はできないと考えました。
売却先が工事を行う蓄電池設備の動産には担保設定
本ファンドは運用開始に合わせ、売却先に使用貸借による借地契約を結びます。
売却先は借地契約により、本物件上に系統用蓄電所を建設するための設備等を購入し、工事を行っていきます。FUNDIとしては売却先が買い取る蓋然性をより確実にするため、「譲渡担保」を設定し、売却先も合意しております。
まとめと、その他リスク
FUNDIはサービス開始早々、30億円を超えるデータセンター用地転売ファンドを組成しましたが、今回も5億円と巨額の系統用蓄電池ファンドを組成しており、ファンドによる運用資産規模が短期間で膨らんでいます。
一方で、
ファンド運営事業者は不動産の保有、買取再販ともに実施していない、純資産1億円規模の事業者です。
いずれのファンドでも大きな損失が生じた場合に、事業者の財務への影響が大きいことが想定されますので、
本件ファンド固有リスクの他に、事業者の信用リスク影響もある点は考慮の上で、分散投資を前提とした投資判断をお勧めします。
・FUNDIの説明では200坪強の土地の評価額が約5.37億円と、坪単価200万円を超える価格としているが、土地のみでの評価額としては違和感有り
(運営事業者が担保権を取得するとされる蓄電池等機器に関する費用を含むと想定されるが、当該担保に関する詳細条件の開示がなくリスクや資金使途内訳が把握できない)
→投資検討時は、資金使途や取得額の妥当性、リスクについて自分なりに納得できた場合に限り投資されることを推奨します