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ヤマワケエステートの行政処分とその影響を考える

【2026年2月22日 11:30 PM】
2026年2月20日に、大阪府がヤマワケエステートに対する行政処分を実施しました。
その処分内容と影響について考えてみます。

ヤマワケエステートの行政処分について

まず、大阪府が開示した処分内容を確認します。

行政処分理由と処分内容

行政処分理由

ヤマワケエステートが大阪府から行政処分を受けた理由は、大きく以下の2点です。

(1)ファンド単位での分別管理口座を開設せず、分別管理が徹底されていなかった
法律上はファンドごとに異なる口座で財産を管理する必要があったものを、同一の口座で複数のファンドの財産を管理されていたことが指摘されています。

(2)ファンド間の資金流用(目的外流用)
当然のことですが、法律上、ファンドで集めた資金は、当該ファンドのためにのみ使用可能です。
ところが、ヤマワケエステートでは、「青森・八戸 地方再生にアジアンエンタメ インドアテーマパーク」のために集めた資金を、「東京都世田谷区岡本 バリューアップファンド / リセール」及び「沖縄県阿嘉島 リゾートヴィラファンド/ リセール」における支払い(営業者報酬や内装工事、建築工事等の費用)に不正流用したことが指摘されています。

本件についてヤマワケエステートが開示した説明文書によれば、前者については、前者については、法律の解釈を誤っていたものであり、意図的に法律違反をしようとしていたものではなかった、ということとなっています。
この真偽を断定することはできませんが、大きな問題は、(2)の資金流用でしょう。
ヤマワケエステート自身が当時の代表者の強力な支配のもと、不適切な資金移動を行ったと、ガバナンス上の問題を認めています。

(2)については、違法であるとの認識のもと、当時のトップ自らの意志の元実行していたという状態ですので、非常に悪質な違法行為だと言えるでしょう。
ファンド間での資金流用が実施される可能性があるとなれば、投資家がどんなに投資先不動産やファンド設計を吟味したところで、意味はありません。

これは、投資家の信頼を著しく損ねる、大問題ではないか、と私は思います。

更に大きな問題は、この行為は2024年3月に実施されていたにも関わらず、その事実は新たな経営体制への移行後もこれまでは隠ぺいされており、行政処分によって、はじめて明らかになったことだと考えます。
ヤマワケエステートが開示した説明文書では、当時の経営者個人の問題としているようにも見えますが、経営体制刷新後に、この問題を認識できていなかったのでしょうか?
経営体制刷新後においても分別管理口座は解説されておらず、過去の取引の総チェックを行う、といった本来必要なことを行わず、1年近くが経過した今、現経営陣にも問題がなかったのか、しっかり立ち止まって反省し、徹底的な改善をすべきではないでしょうか。

行政処分内容

ヤマワケエステートが大阪府から受けた処分内容は、大きく2点です。
ファンドの新規募集、組成を60日間禁止し、同じことが起こらないよう、再発防止策を実施した上で、役職員の教育を行う、というもの。
加えて、対処後も必要に応じて財産の運用・管理状況を報告することを求めていますので、行政の監視にも継続的にさらされることになるのでしょう。

(1)業務の一部停止(2026年2月24日(火)4月24日(金)まで:60日間)
新たなファンドの募集や契約の締結が60日間実施できなくなります。

(2)業務改善に関する指示
①ファンドごとの分別管理と財産の適切な管理・保全
②社内の業務管理体制の整備
③再発防止策の実施と役職員への周知徹底
④法令順守の徹底とそのための教育の実施、継続
⑤投資家に対する処分理由、処分内容の説明
⑥上記の対応状況の報告に加えて、その後も財産の運用・管理状況を報告

行政処分により、ファンド運営はどうなるのか

行政処分は、ファンドの運営に直接的な影響を与えるのでしょうか?

今回の行政処分で停止される業務は「ファンドの新規募集や契約」に関する業務となっています。
つまり、60日間の一部業務停止期間は新たなファンド組成は行われませんが、運用中ファンドの運営、つまり、不動産の管理や売却活動は、行うことができますので、既存ファンドで行っている事業自体には影響がありません。

分別管理の徹底や役職員への教育により、より適法な運営が行われることも期待したいところです。

ヤマワケエステートの他ファンドでは問題はないのか

今回の情報開始では、その点について判断できるだけの材料はありませんでした。
どちらかと言えば、過去の経営体制においてはガバナンスに大きな問題があったことを積極的に認めていますので、今回処分理由となった資金流用以外にも問題が一切なかった、と信じさせるような情報開示があったとは感じられませんでした。
加えて、現経営陣が自らの責任問題と捉えず、他責志向で振る舞うようでは、今後も投資家からの信頼を回復することは容易ではないと感じます。
真摯に反省し、投資家保護や情報開示の改善に努めていただくことを望みたいと感じます。

なお、ヤマワケエステートの運用中ファンドでは、投資家の元本が棄損する可能性を運営事業者自らが認めている可能性があります。
そう考える根拠として、ヤマワケエステートの親会社であるREVOLUTION社の決算資料を見ると、2025年10月期の第一四半期決算短信において、販売用不動産の評価損が1,986百万円計上されています。
販売用不動産の評価損は、保有する不動産の経済的価値が、簿価(取得原価)より低下し、回復の見込みがない場合に行うものです。

つまり、REVOLUTION社としては、投資家の元本を下回る価値しか見いだせないと判断していることになります。
2026年2月20日時点までに償還されたファンドでは投資家元本が棄損する事象は起きていませんが、今後、投資家の元本棄損が生じる可能性が否定できないでしょう。
だからといって資金流用など法律違反に走るのではなく、分別管理の徹底を実施した上で、最大限高値での不動産売却のために真摯に努力し、投資家保護に努めていただけることを強く望みます。

ヤマワケエステートの倒産リスクについて

ヤマワケエステートは上場企業であるREVOLUTION社の子会社となっていますが、上場企業グループだからといって、倒産しないと断定できるわけではありません。
ここでは、万が一の倒産時にどのような影響があるのかを触れたいと思います。

ヤマワケエステートが倒産するとどうなるか

ヤマワケエステートは不動産特定共同事業第一号事業を行っており、「倒産隔離」がされていないスキームです。
そのため、もし、ヤマワケエステートが倒産すると、ファンドで取得した不動産を売却した資金が投資家に直ちには戻らなくなります。

不動産を担保に銀行が融資をする場合、不動産に「抵当権」を設定しますが、この場合は、倒産時にも「別除権」があり、この不動産の売却資金から、銀行が優先的に資金回収を行うことができます。
一方で、不動産クラウドファンディング投資家には、「別除権」がありません。
そのため、倒産した場合には、ヤマワケエステートの全ての不動産や資産を処分・換価した後、会社全体の債務を清算した残資産を、債権者全体(ファンド以外の債権者含む)で分け合う形になります。
自身が投資したファンド以外で損失が生じた場合の損失も分け合うことにに加えて、ファンド以外での借金や従業員への給与支払いなども先に行う必要がありますので、元本が大きく棄損する可能性があります。

加えて、ヤマワケエステートでは多くのファンドを運営しており、裁判も抱えていますので、全ての清算が終わるまでには、長期間を要する可能性があります。
ファンド運営企業の倒産は投資家に大きな影響を与えますので、真摯に業務改善に取り組み、効率的な事業運営で、持続可能な事業として立て直してもらえることを望みたいところです。

ヤマワケエステートの決算状況

ヤマワケエステートの決算状況を見ると、直近の2025年9月期の決算では、売上約310億円に対して、売上総利益は1億円強と、ほぼ不動産の売却では利益が上がっていません。
経常利益も▲13億円強と大きな赤字となっており、特別利益23億円などを加味した当期純利益でかろうじて5,700万円の黒字を確保したという決算となっています。

決して順風満帆の業績というわけではなく、行政処分によるファンドの募集停止や、投資家の信頼失墜から早期に回復することが極めて重要な経営状況と言えます。
現経営陣には、自らの責任として、真摯に取り組んでいただきたいたいところです。

ヤマワケエステート株式会社 決算情報(BS)

※直近1年間のファンドの募集額に運用期間(年換算)を乗じることで、現在運用中ファンドにおける投資家からの出資金規模を算出。(当サイト独自指標です)

ヤマワケエステート株式会社 決算情報(PL)

ヤマワケエステートの親会社であるREVOLUTION社の決算状況

2025年10月期決算:純資産が190億円から15.1億円に大幅減少

REVOLUTION社連結(ヤマワケエステート含む)の2025年10月期末の純資産は15.1億円と1年前の190億円から大きく減少しており、自己資本比率は3.2%まで低下しています。
また、2025年10月期は営業利益▲41億円、経常利益▲34億円となっており、来期に同様の赤字が続けば、純資産がマイナスとなる「債務超過」と呼ばれる状態になる可能性も否定できません。

ヤマワケエステートの2026年10月期事業計画ではクラウドファンディング事業の黒字化により、経常利益で40億円の確保をめざす計画となっていましたが、第1四半期のファンド組成状況は決して2025年10月期と比べて劇的に改善したとは視えず、加えて今回の行政処分で60日間の新規組成停止となる他、投資家の信用失墜によるファンド不成立の増加やマーケティングコストの増加が懸念されます。
現時点では、倒産リスクが無い、と言い切ることは難しい状況であり、ここからの立て直しが非常に重要になります。

第三者割当増資計画と、その進捗

なお、REVOLUTION社では、第三者割当増資により、資本金の増強を計画しています。
2025年11月19日に第三者割当により発行される第10回新株予約権の募集に関するお知らせを開示しており、最大5億円規模の増資枠をEthan Willammarkets11号投資事業有限責任組合に割り当てました。

ただし、これは資金が既に入ったわけではなく、あくまで新株予約権が割り当てられたという状態です。
2026年2月20日時点では、2025年12月22日に第三者割当による第10回新株予約権の発行の払込完了に関するお知らせ で開示のあった約5,000万円の増資があったのみとなっており、ヤマワケエステートの昨年度経常赤字▲34億円と比べると、大きな意味のある金額とまでは言えない水準にとどまっています。

増資する側の立場になれば、REVOLUTION社及びヤマワケエステートが業績を立て直し、株価が今後上昇するという期待が持て、株式の流動性も高まると想定できる状態にならければ、大きな増資を行うことはできませんので、ヤマワケエステートの立て直しが非常に重要になってくるのではないでしょうか。

不動産クラウドファンディング業界について

ここで、ヤマワケエステートだけではなく、不動産クラウドファンディング全体に目を向けたいと思います。
ヤマワケエステートで今回確認されたような、ファンド間の資金流用といった問題は、他のサービスでも生じうるのでしょうか?

他サービスでも同様の問題があるのか

結論から言うと、同じことが絶対に起きていない、とは言い切れないでしょう。
今回ヤマワケエステートが「分別管理口座を持たない」といった事実を行政処分で突き付けられるまでには、サービス開始から2年を要しています。
つまり、この2年間の間、分別管理口座の入出金履歴やその証跡などのチェックを行政が行なっていないと考えられるでしょう。

正直、過去のソーシャルレンディングにおける不祥事を見る限りは、行政が確認したらすぐ証拠が挙がるような「ダイレクトな目的外流用」ではなく、もっと証拠が挙がりにくい方法を取るケースの方が一般的でしょう。
例えばSBIソーシャルレンディングの事案では、貸付先の工事委託先、さらにその先の下請け業者を経由して、資金が不正流用されています。

参考記事:日経クロステック:ソーシャルレンディング大手に行政処分、業界に横たわる1社偏重の罠
このような事例では、金融系のプロであるSBI系の事業者ですら不正を容易には見抜くことができていませんので、不動産を管轄する国土交通省や都道府県の不特法担当部門が短期間の監査や報告徴収を通じて全ての不正を洗い出すことが100%可能、と考える方が無理があるでしょう。

不動産クラウドファンディングで起きているトラブル

不動産クラウドファンディング業界では、ヤマワケエステート以外にも償還遅延を起こしているサービスがあります。
オンラインでのファンド販売は行っていませんが、同じ不動産特定共同事業であるみんなで大家さんにおいても償還遅延、配当停止が起きています。

また、TECROWDのカザフスタン案件では、楽待記事において、戸建て建築してファンド償還したとされていたものが、現地調査してみると建物が立っていなかったことが確認された他、ダーウィンファンディングでも、マンション開発型ファンドが、マンションを建てないまま、満額配当でファンド償還されているような事例も有ります。
TECROWDにおいては、特定の企業との相互取引が複数事例で確認(関連記事①関連記事②)されており、お金の流れの確認が難しい事例も確認されます。

これら以外でも、わかちあい、TOMOTAQUのリゾート開発ファンドが、工事延期や売却延期で当初計画期間で売却が完了せず、当初機関終了後にファンドを再組成し、新たに投資家からの資金調達を行うケースも複数案件で発生しています。

現在の不動産クラウドファンディング市場では、トラブルの増加ともに投資家集めに苦労するケースも増加しており、「安全性などで信頼を集めるローリターン~ミドルリターン型」と、「ハイリスクハイリターン型」の二極化が進んでいます。
不動産クラウドファンディングは元本保証のない投資商品ですが、ハイリスクファンドが増加していますので、それぞれの投資家のリスク受容度を踏まえ、しっかりと投資先商品のリスクや企業の信用リスクを評価した上で投資先を選んでいく必要があるでしょう。

運営事業者選びと、ファンドの資金使途・募集額妥当性確認の重要性

ヤマワケエステートが「当時の経営者自らが不正行為を行った」ということを公式に説明していますが、今回はダイレクトにファンド間の資金流用が行われるという、比較的わかりやすいお金の流れでした。
もし、運営事業者が悪意を持って不正行為を行い、隠ぺいを図る場合には、行政の監査や報告徴収でも、不正行為の証拠を容易には確認することはできない可能性があります。

不動産クラウドファンディングは元本保証のない投資商品ですが、今回改めて認識する必要があると感じたことは、「事業者と投資家の情報格差が大きい」ことに加えて、「法律を遵守しない事業者が存在しても、すぐには表に出てこない可能性がある」ことかと感じます。

利回りだけで投資先を選ぶのではなく、サービスを提供する企業の「投資家保護姿勢」や「情報開示の誠実さ」、「ガバナンス」などを、これまで以上に丁寧に見ていく必要があるのではないでしょうか。

また、資金の目的外流用リスクを抑制するためには、ファンドが保有する不動産価値と、ファンドの募集額に乖離が無いことを確認できるかも重要です。
資金の目的外流用が可能となるファンドの特徴について、 関連記事で触れていますので、少し難解ですが、ご興味のある方はご欄下さい。

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