「らくたま」とは?
2024年4月にサービスを開始した、新しい不動産クラウドファンディングサービスです。
当サイトでは、不動産証券化協会認定マスター資格を持つ管理人が投資をした、または、投資を検討したいサービスに限定して情報掲載していますが、このサービスについては開始直後ながら、これまでのサービスとは少し異質なファンドに育つ可能性を感じていますので、その魅力について本記事で解説します。
安全性が高く、今のところ利回りもかなり高めに設定されていますので、投資先として検討してはいかがでしょうか?
「らくたま」は不動産特定共同事業法に基づき提供される投資型クラウドファンディングサービス
「らくたま」は、不動産特定共同事業法(以下、不特法)に基づき厳しい規制やルールのもとで提供される、投資型クラウドファンディングサービスです。
不動産クラウドファンディングとは、「不動産特定共同事業法(以下、不特法)」という法律に基づき、国土交通省・都道府県から許可または登録を認められた事業者のみが投資家に提供可能な投資商品であり、以下のようなメリット・強みを持つサービスです。
不動産クラウドファンディング投資のメリット・強み
- 株式のような値動きがなく、堅実な配当利回りが期待できる
- 出資金の使途は対象不動産運営に関するものに限定し、リスクを限定
- 優先劣後構造で、ファンドで損失が生じてもまず事業者が負担
- 契約書は行政の審査を経ており、不当に不利な心配がない
- 面倒な不動産運用はファンド運営事業者にお任せ
- ただし元本保証はないため、複数サービスへの分散投資は重要!
不動産特定共同事業法は厳しい投資家保護のためのルールを定めているため、サービスやファンド運営を行う事業者は全て、このルールに従って投資家保護に取り組んでいます。
(上記のうち、優先劣後構造については厳密には法律に定める義務ではないため、ヤマワケエステートなど一部該当しない事業者が存在します。)
「らくたま」についても当然、東京都の許可を取得しており、サービスやファンド運営についても行政の監督を受けています。
(株式会社フロンティアグループ:不動産特定共同事業 東京都知事 第180号)
不動産クラウドファンディングに共通する特徴や制度については本サイトの
「不動産クラウドファンディングとは?」で解説していますので、ご確認ください。
「らくたま」運営状況
まずは、定量的なデータから、サービスの特長や傾向をチェックしてみましょう。
まだ始まったばかりのサービスのため、今後の組成頻度や利回りなどは変化がありそうですが、これまでのところ、「利回り」は、平均レベルと比べると若干下がるものの、安全性の高さを踏まえれば、「高めの利回り」となっています。
管理人が「高めの利回り」と判断する、このファンド特長は後述します。
「らくたま」のサービスの魅力、特徴
まず、ファンドのタイプを
安全性の高いインカム型に特化した上で、更に万一の損失発生時に投資家の元本を保護する劣後出資比率が30%と業界最高水準(4号ファンドまで/5号ファンドでは13%となっておりファンドごとに異なるため注意)とし、マスターリース契約で空室リスクまで抑制する安全設計ファンドが提供されています。
ここまでであれば、GALA fundingやT's Fundingなど既存のサービスにも同様の条件があてはまるのですが、このサービスの他との違いは、
「運営会社が不動産の長期保有で収益を上げてきた資産運用のプロ」である点です。
サービス運営企業がマンション開発などを行うデベロッパーの場合、良質な自社開発不動産のPRも兼ねてファンドで所有し、運営するというパターンがあるのですが、「らくたま」は、運営会社が長期保有し、稼働状況や資産価値も検証された状態(いわゆるトラックレコードがある)の物件をファンドで保有・運営することができます。
トラックレコードがあれば、マスターリース契約も有利な条件で締結できますし、不動産運営のプロが運営することで、運営ノウハウにも期待できます。
(もちろん大手デベロッパーが扱うファンドでは、資産価値が下がりにくい好立地の築浅マンションに特化しているなど安全性への配慮がありますし、デベロッパーに運営ノウハウがないというつもりはないのですが、デベロッパーがみな運営に強いわけではありませんので。)
「らくたま」の魅力
- 賃料をベースに配当するインカム型に加えて、マスターリースで空室リスクを抑制しており、リスクが低い
- 万一の損失発生時に投資家の元本を保護する劣後出資比率が30%と業界最高水準
- 運営会社は、不動産会社の中でも、「不動産所有・管理」に強い資産運用のプロフェッショナル
- ファンドの安全性を高めている一方で、利回りも現在のところ6%とかなりの高水準
不動産会社にはそれぞれ得意分野があるのですが、不動産クラウドファンディングサービスを運営する不動産会社は、不動産を開発するデベロッパーや、不動産のバリューアップ転売を行う事業者が多く、不動産の長期保有を主要事業としている事業者が参画しているケースはほとんど見たことがありませんので、今後も継続的なファンド組成ができれば、業界でも異質な存在になるかもしれません。
(これには、不動産クラファンで投資家が求める利回りが高すぎるため、参入しにくい、というか参入しても儲からないという事情があります。)
「らくたま」を運営する「株式会社フロンティアグループ」とは?
不動産クラウドファンディングは、「面倒な不動産運用はファンド運営事業者にお任せ」する投資商品です。
投資先を選ぶ際には、ファンド運営事業者の不動産事業のノウハウや財務状況を確認することが非常に重要になります。
そこで、「らくたま」を運営する「株式会社フロンティアグループ」をチェックしてみましょう。
「株式会社フロンティアグループ」の基本情報
創業2008年の不動産会社ですが、主要事業は以下の通りとなっており、不動産の取得、販売よりも、アドバイザリーや投資、不動産賃貸に強い不動産会社です。
・M&Aアドバイザリー・投資事業
・不動産賃貸業
・不動産の取得、販売、及び仲介事業
・不動産クラウドファンディング事業
・再生可能エネルギー源を利用した発電事業
ホームページには「所有不動産一覧」が掲載されており、目標収益資産規模を333億円としています。
収益不動産を取得し、賃貸用不動産として長期保有するということは、賃料の最大化や修繕などの運営コストの管理についても専門的なノウハウを持っている会社です。
ちなみに創業タイミングの2008年と言えば、まさにリーマン・ショックによる不動産価格の暴落のタイミングです。
不動産価格はこの時期に大きく下落しており、現在にかけて、中長期的に価格が上昇してきていますので、長期保有資産については、帳簿価格(簿価)より市場価格が高いという「含み益」があるものも存在しているはずですので、これでしっかり利益を稼げているようなら固い経営ができていると確認できますので、次に決算情報を見ていきましょう。
「株式会社フロンティアグループ」の決算情報チェック
まず、当サイトに掲載している「株式会社フロンティアグループ」の決算(2024.5時点)をご覧ください。
企業の財務の健全性が確認できる「BS」を見ると、当サイトで掲載する不動産クラウドファンディング事業者の平均には及びませんが、長期保有不動産にはおそらく含み益があるものが含まれます(※)ので平均と比較して悪いとみる必要はなさそうです。
次に、企業の稼ぐ力が確認できる「PL」を見ると、利益率が極めて高いですね。
これは、「不動産を売却して売却益を得る」というデベロッパーや転売事業では土地や建築費が売上原価となるため原価率が高くなる一方で、「賃貸収入」の場合は、売上原価が修繕費やPMフィーなどとなるため、原価率が低いという影響はあるため、単純比較してはいけないのですが、それでも年間14億円の経常利益を稼いでいるというのは強い収益力があるといえます。
※決算の見方については、別記事「
不動産クラウドファンディング事業者の決算チェックポイント」で解説していますので、興味を持った方はご欄下さい。
※不動産が値上がりして資産価値があがっても、企業の決算上は、「実際に利益が実現する時」まで利益計上ができません。
そのため、資産価値が上がった場合には、「含み益」が発生している状態となりますので、企業にとっては現金や利益が不足すれば、売却により売却益を確保できる状態となります。
リーマン・ショック後の創業ということで、都心部の不動産価値は大きく値上がりしていますので、一定の含み益を確保していると想定できるでしょう。
厳密には、簿価と市場価格を対比する必要がありますので、断定はできませんが、決算データの後ろに保有不動産情報も抜粋転記しますので、気になる方はご確認ください。
【出典】
株式会社フロンティアグループ公式ホームページ 所有不動産一覧 より
まとめ:「らくたま」とは?
不動産の長期保有で収益を上げてきた資産運用のプロが、高いノウハウを元に運営するサービスです。
組成されるファンドも、「インカム型」「賃料保証」「劣後出資比率30%」と安全性にこだわった設計となっており、運営企業の賃貸不動産経営のノウハウも考えると、非常に安心感の高いサービスと言えます。
サービス開始直後は「利回り6%」とかなり高い設定となっており、サービスのPR期間が終われば、利回りは下がっていく可能性はありますが、それでも、投資先候補としては魅力的な選択肢になるのではないでしょうか?
管理人としては、是非今後も継続的なファンドの組成と、できれば一定の利回り水準の確保を期待したいと思います。
最後に
ここまで「らくたま」の魅力と留意点をご説明しました。
不動産クラウドファンディング投資は堅実な利回り投資が期待できる投資商品ですが、万が一の運営事業者の倒産リスクの可能性も踏まえ、分散投資が非常に重要になりますので、新たな投資先候補として検討されるのは、いかがでしょうか?
なお、当サイトではリスク分散の観点で、複数のサービスに対する分散投資を強く推奨しており、投資先サービスやファンド探しに役立つ情報の収集、掲載に努めていますので、他サービスについても是非ご確認下さい。