わかちあいファンドではこれまでリゾートファンドを多数組成していますが、フェーズが分かれ運用期間が長期化しているファンドも多いため、投資検討時にはリゾートファンド全体の現状確認をしたいところですね。
これまでに岡山日生と旧軽井沢、新軽井沢、石垣島、南禅寺の5プロジェクトがリゾート開発型ファンドとなっていましたので、これらの状況を確認しました。
また、運営企業の決算データの確認や他サービスとの比較もしていますので、投資検討の際の参考としてください。
岡山日生PJはどうなっている?
岡山日生については募集段階から以下の通り売却先が明記されており、出口が明確な点が魅力のファンドでした。
結果、予定していた運用期間で売却され、この4月に満額配当・償還されています。
<わかちあいファンド公式ページ記載抜粋>
事業終了時にはNANEI株式会社が対象物件(土地建物)すべてを取得する契約を弊社と締結しています。
それ以外のリゾートファンドはどうなっている?
不動産自体を売却して売却益を確保した岡山日生と異なり、軽井沢などでは売却シナリオが明記されていません。
リゾート販売については正直、販売事業者の持つノウハウやチャネルなどに依存する部分が大きいため、ファンドで損失が生じるリスクを把握するのが難しいのですが、全く見通しが見えないまま投資するのは怖い人も多いと思いますので、公開されている情報を探してみましょう。
わかちあいリゾートとは
わかちあいファンドを運営する株式会社日本プロパティシステムズは「わかちあいリゾート」という名称で、一つのヴィラを複数のオーナーで所有するシェア型リゾート事業を展開しています。
公式サイトを確認すると、「軽井沢(2物件)」「南禅寺」がシェア型別荘として販売、または販売を計画されていることが確認できます。
わかちあいリゾート公式サイト
YouTubeでもチャンネルをもっていますが、2024.6.28時点では再生数が2,000回弱と一定の関心が得られている様子は確認できますが、販売計画に対して十分なのかどうかは見た人により印象が分かれる数字でしょうか。
YouTube わかちあいリゾートチャンネル
シェア型リゾートでは、「NOT A HOTEL」などメディアからも注目を集める成功事例もありますが、わかちあいリゾートはサービス開始から間もない状況のようで、わかちあいファンドへの投資家にとっては事業が順調に軌道に乗るかが非常に重要になるので、今後のマーケティング動向、富裕層の反応などから目が離せませんね。
旧軽井沢PJ、南禅寺PJはどうなっている?
わかちあいファンドの「旧軽井沢PJ」では、フェーズⅢでの売却を計画していたものの、
「ウクライナ戦争」に伴う建築資材サプライチェーンの分断および全国的な建築関連人材の不足が重なったため引渡しが2か月遅れ(公式サイトの記載抜粋)
結果、「フェーズⅢ-②」ファンドにリファイナンス(新しいファンドを募集し、ファンド間で対象不動産を売買)されています。
わかちあいリゾートのサイトを見る限り、現在まさに販売中という状態のようで、無事に予定価格以上での販売に成功すれば、ファンドの配当や元本償還がされることが期待できそうです。
南禅寺PJや新軽井沢PJは現在ファンドを運用中の状態ですが、わかちあいリゾートのサイトを見る限りは、この仕組みを通じた売却に成功すればあfファンドの配当や償還が期待できそうですので、「わかちリゾート」の成否はファンドにも大きな影響を及ぼしそうです。
石垣島PJはどうなっている?
石垣島PJについては、まだ取得から間がなく、改装が進んでいないためか、わかちあいリゾートでの掲載はありません。
そのため、売却ルートの想定は難しいですが、高値での購入を希望する富裕層が見つかった場合を除けば、このわかちあいリゾートの仕組みを活用できる点はわかちあいファンドの強みになるかもしれません。
とはいえ、現時点ではわかちあいリゾートの販売力や事業モデル(ファンドからイーダブルジーが別荘を買い取る価格やタイミング)を確認できませんので、ファンド投資家それぞれが、自分なりの視点でリスク判断をいただくしかないかと思います。
■わかちあいファンド石垣島第Ⅰ期(一次+二次募集)
募集額:255,000,000円
資金使途:別荘の取得と設計開発費用
募集開始:2024/1/25
運用期間:2024/3/1 〜 2025/6/30
■わかちあいファンド石垣島第Ⅱ期(一次・二次募集)
募集額:195,000,000円
資金使途:改装費用
募集開始:2024/04/12
運用期間:2024/5/1 〜 2025/8/31
■わかちあいファンド石垣島第Ⅲ期
募集額:100,000,000円
資金使途:改装費用
募集開始:2024/04/12
運用期間:2024/8/1 〜 2025/8/31
運営会社の決算状況はどうなの?
わかちあいファンド、わかちあいリゾートの運営企業である株式会社日本プロパティシステムズの決算を確認してみましょう。
また、1社だと対比が難しいと思いますので、リゾートファンドを扱っている利回り不動産との対比も行ってみます。
わかちあいリゾートの運営会社:株式会社日本プロパティシステムズの決算状況は?
決算を見ると、純資産規模が年々積み上がり、自己資本比率は4%を切る状況となっています。
例えば前述の石垣島PJではファンドで5.5億円の資金調達を行っていますが、その募集前段階の2024年3月31日時点でも過去1年間で9億円規模の資産を積み上げています。
それに対して純資産は1億6700万円規模と、昨年度から700万程度の増加にとどまっており、リスク資産の増加規模が大きい点には留意する必要があります。
わかちあいファンドでの資金調達分に関しては、運営企業は劣後出資金までのリスクしか負っていません(キャッシュベースでは)ので、見かけの自己資本比率の数値よりは財務は健全だとは言えるのですが、わかちあいリゾートでの売却が進まない場合に、運営企業が自己資金でファンドから買い取れるだけの純資産の積み上げがない点は理解しておく必要がありそうです。
とはいえ、わかちあいリゾートの立ち上げには先行投資がかさんでいる状態も想定されます。
その状況の中で赤字決算とせず、わずかながらも利益を上げて純資産を積み上げている状況からは、企業としての底力も感じられるのではないでしょうか。
株式会社日本プロパティシステムズ 決算情報(BS)
項目
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2024年03月31日
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2023年03月31日
|
2023年03月31日
|
全サービス平均
|
総資産
|
43億4,900万円
|
27億2,800万円
|
18億1,500万円
|
-
|
純資産
|
1億6,700万円
|
1億6,000万円
|
1億4,800万円
|
-
|
自己資本比率
|
3.84%
|
5.9%
|
8.2%
|
22.85%
|
運用中資産規模 AUM(※)
|
21億9,500万円
|
-
|
-
|
-
|
AUM÷純資産
|
13.14
|
-
|
-
|
7.7
|
現預金
|
-
|
-
|
-
|
-
|
現預金比率
|
-
|
-
|
-
|
10.45%
|
※直近1年間のファンドの募集額に運用期間(年換算)を乗じることで、現在運用中ファンドにおける投資家からの出資金規模を算出。(当サイト独自指標です)
株式会社日本プロパティシステムズ 決算情報(PL)
項目
|
2024年03月31日
|
2023年03月31日
|
2023年03月31日
|
全サービス平均
|
売上高
|
22億8,800万円
|
13億1,500万円
|
6億1,300万円
|
-
|
売上総利益
|
4億7,500万円
|
2億7,500万円
|
1億5,700万円
|
-
|
売上総利益率
|
20.76%
|
20.9%
|
25.6%
|
18.25%
|
営業利益
|
1億4,700万円
|
9,100万円
|
2,900万円
|
-
|
営業利益率
|
6.42%
|
6.9%
|
4.7%
|
4.37%
|
経常利益
|
4,100万円
|
1,900万円
|
1,300万円
|
-
|
経常利益率
|
1.79%
|
1.4%
|
2.1%
|
2.92%
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利回り不動産の運営会社:株式会社ワイズホールディングスの決算状況と比べると?
わかちあいファンドと似たファンド構成で、インカム型からリゾート開発までを扱う利回り不動産を運営する株式会社ワイズホールディングスと比べてみましょう。
利回り不動産は決算期が異なり1年近く前のデータとなりますが、利回り不動産は①純資産が4億円を超えており自己資本比率が219%ある点や、②資産規模が過度に膨らんでいない点では、株式会社ワイズホールディングスの決算数値の方が望ましい数値となっています。
わかちあいファンドに投資する投資家にとっては、わかちあいリゾートが成功してリゾートビジネスで高い利益率を確保し、純資産を積み上げることを期待したい状況、と言えそうです。
これから投資検討する投資家にとっては、他サービスと比較検討の上で投資検討する選択肢もありますので、当サイトの情報も参考として下さい。
株式会社ワイズホールディングス 決算情報(BS)
項目
|
2023年04月30日
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2022年04月30日
|
2021年04月30日
|
全サービス平均
|
総資産
|
27億7,871万円
|
22億6,868万円
|
21億2,632万円
|
-
|
純資産
|
5億5,082万円
|
5億3,300万円
|
5億21万円
|
-
|
自己資本比率
|
19.82%
|
23.49%
|
23.5%
|
22.85%
|
運用中資産規模 AUM(※)
|
24億200万円
|
-
|
-
|
-
|
AUM÷純資産
|
4.36
|
-
|
-
|
7.7
|
現預金
|
-
|
-
|
-
|
-
|
現預金比率
|
-
|
-
|
-
|
10.45%
|
※直近1年間のファンドの募集額に運用期間(年換算)を乗じることで、現在運用中ファンドにおける投資家からの出資金規模を算出。(当サイト独自指標です)
株式会社ワイズホールディングス 決算情報(PL)
項目
|
2023年04月30日
|
2022年04月30日
|
2021年04月30日
|
全サービス平均
|
売上高
|
80億175万円
|
14億2,019万円
|
48億5,450万円
|
-
|
売上総利益
|
4億6,326万円
|
3億9,141万円
|
3億119万円
|
-
|
売上総利益率
|
5.79%
|
27.56%
|
6.2%
|
18.25%
|
営業利益
|
1億1,540万円
|
7,985万円
|
8,763万円
|
-
|
営業利益率
|
1.44%
|
5.62%
|
1.8%
|
4.37%
|
経常利益
|
1,810万円
|
5,035万円
|
7,304万円
|
-
|
経常利益率
|
0.23%
|
3.55%
|
1.5%
|
2.92%
|