利回りは高いが、Phase1からPhase2への移行条件が不透明すぎます
あくまで当サイト管理人の考え方、という前置きをさせていただきますが、今回のファンドについては不透明な部分が多すぎ、投資を推奨できないと考えました。
主な理由は以下の通りです。
1)事業モデルや売却シナリオに関する情報がない
投資家に12%の配当利回りを出すだけのバリューアップシナリオが一切触れられていません。
これだけでは、前回ファンドで12%の利回りを設定しないと募集が集まらなかったため、リファイナンスを実現するためだけに12%の利回り設定としただけという可能性を否定しきれませんでした。
2)フェーズ1ファンド時点で評価額「275,000,000 円」だった土地を、今回のファンドで 「320,000,000 円」まで16%上昇させた高値で仕入れる妥当性の説明がない
不動産ビジネスは、「不動産を安く仕入れられるか」が非常に重要になりますが、フェーズ1の時より16%も高い価格で土地を仕入れることになっています。
フェーズ1では駐車場での運用などを想定されていましたが、時間の経過で16%以上のバリューアップが実現されたという考え方についての解説が全くありません。
現在の不動産は、「最も有効活用された場合の収益力や価値」で価格が設定されます。
建築コストはこの1年で大きく値上がりしており、16%のバリューアップを図るには、想定収入は16%どころか、もっと大きく拡大している必要があります。
そのためには利用用途が劇的に変化していないといけませんが、フェーズ2ファンドでは「地上5階建ての事務所・店舗ビルの建築に向けて作業」する予定であるものの建築コストも含まれておらず、ファンドで行うバリューアップの中身が見えません。
例えば売却先候補となるビルデベロッパーから高値での買い付けが得られているなどなら開示情報にて明記するでしょうから、現時点では、フェーズ1ファンドから16%も高値で仕入れる根拠が弱いのではないでしょうか?
最悪の想定としては、フェーズ1ファンドに配当を満額出すために、フェーズ2では高値での物件購入を強いられているだけ、という可能性すら否定しきれません。
3)このような背景の中、運営事業者の姿勢も消極的
今回のフェーズ2でも、ファンド間売買で不動産を取得するために、運営事業者にアップフロントフィー450万円の支払うことになっています。
運営事業者が取得のために労力をかけているわけではないため、このアップフロントフィー1.5%は取りすぎではないでしょうか?
さらに劣後出資が1000万円⇒500万円に減額になっています。
ファンドを運営するカチデベロップメント株式会社の直近決算が更新されていませんが、令和5年3月31日時点の手元現金が1,700万円と、この規模の物件買取を行う事業者としてはかなり苦しいキャッシュフローとなっていることが決算からも見て取れますので、最悪の想定としては、キャッシュフローがかなり苦しい状態となっているという疑いも否定しきれません。
COZUCHIなどの解説でも触れましたが、フェーズ1⇒2でリファイナンスを行う形態のファンドの場合、事業者やフェーズ1の投資家にとっての大きなリスクは、「リファイナンスリスク」です。
フェーズ2が無事に成立しても、フェーズ2中での売却成功、またはフェーズ3へのリファイナンスまでにバリューアップが実現するかどうかまでを見通した投資判断が必要だと考えます。
まとめ:想定利回りの高いファンドですが、投資時はリスク分散の観点で分散投資を心掛けて下さい
管理人としては投資を非推奨としましたが、投資は各人が自らの判断で行うものですので、高利回りファンドという魅力を評価して投資される方もたくさんいると思います。
管理人もリスク覚悟で投資しているファンドがいくつかありますのでそれも良いと思うのですが、倒産隔離スキームのない不特法1号ファンドですので、最悪の場合全損となる可能性も考慮して、リスクを許容できる範囲の分散投資を是非心掛けていきましょう。