リセール募集のため、実質想定利回りが18%という好条件に拡大
2023年12月の当初募集に応じた出資者は、「対象不動産の売却益の25%(=7%相当)」と、「インカムゲインによる配当2%」と、想定配当が合計9%のファンドでした。
今回の応募者は、このファンドに対する当初出資者から譲渡を受けることで、当初出資者が受け取るはずだった配当と元本償還を得る権利が得られます。
投資・運用期間が半分の6カ月間となるため、9%相当の配当を6ヶ月で得られる、年率換算利回りが18%のファンドとなっています。
国内最大規模の資金調達:京都"ANAクラウンプラザホテル” バリューアッププロジェクト フェーズ2
COZUCHIの「京都"ANAクラウンプラザホテル” バリューアッププロジェクト フェーズ2」は、投資家からの優先出資で110億円を募集するという、不動産クラウドファンディングにおける国内最大規模の資金調達に成功したファンドです。
2023年12月9日から募集締め切りの12月18日まで積極的な広告展開も行っていましたので、業界でも屈指の認知度ですし、これを契機に不動産クラウドファンディングを知った投資家もいたのではないでしょうか?
京都"ANAクラウンプラザホテル” バリューアッププロジェクト フェーズ2の特徴
対象不動産が「共有持分」となっているため、ファンドでは安く不動産を仕入れられています。
共有持ち分の不動産では抵当権の設定や大規模改修などに際して共有持ち分者の同意が必要となるため、
本来の不動産価値より安い価格で売買される他、買い手が限定されるため、流動性が低い(要は、売りたい時に適正価格で売れないリスクがある)という特徴があります。
そのため、
ファンド運営を通じて共有状態を解消し、完全な所有権を得られれば高値での売却が期待できます。
また、
ホテルを改修等によりバリューアップすることで、賃料収入を増額するシナリオも検討されています。
本ファンドは資金調達規模が大きく投資家への配当負担も大きいため融資併用型への検討されていたようですが、現時点では金融機関の融資が付く状態にはなっていないようで、今回リセールでの再募集が実施されていると考えられます。
京都"ANAクラウンプラザホテル” バリューアッププロジェクト フェーズ2の売却シナリオ
前述の通り、本ファンドの出資契約では、「売却益の25%を投資家に配当」となっています。
この配当を利回り換算で7%とする計画となっていますので、これを元にフェーズ2の売却シナリオを試算した結果は以下の通りです。
つまり、
①満額配当を得るためには、150億円強の価格で対象不動産を売却することが必要
②COZUCHIのフェーズ3ファンドでリファイナンス(ファンドで不動産を買い取る)する場合、150億円を超える資金調達が必要
という計算になります。
※試算にはインカムゲイン相当の2%は含んでいません。
まとめ
COZUCHIは人気のあるサービスで現在も新規投資家を積極的に勧奨しているとはいえ、150億円規模の資金調達は過去にない規模となります。
万一資金調達が不調に終わる場合にはフェーズ2の償還が延期されたり、共有状態のままで一般市場で不動産の買い手を探索する必要が生じた結果、いわゆる売り急ぎによって期待した売却益が得られない(損失が生じる場合も)といった可能性もある点は留意して投資検討をしてください。
・当初募集ファンドは、訴訟対応や共有持ち分解消の進展により融資併用型への切り替えを検討されていたが、現時点で新たな情報開示無し
・融資併用への切り替えができない場合、次回のリファイナンスファンドの資金調達規模が150億円規模になる可能性があるため、リファイナンスリスクも考慮した投資判断が必要