「ASSECLI」は一棟収益マンションに対する小口投資が体験できるファンド
2020年1月のサービス開始以降40件のファンドを組成し、全てを運用終了している老舗の不動産クラウドファンディングサービスです。
運営会社である「株式会社エボルゾーン」が強いノウハウを持っている、一棟アパート・マンションの賃料を配当原資にしたインカムゲイン型を基本としつつ、収益性の落ちた中古マンションをリノベーションすることで売却益を確保することもある、個人の投資家にとっても身近な不動産投資のパターンを小口投資で体験できるファンドを多数提供してきました。
きっと、本サービスで不動産投資に関心を持ち、現物不動産投資をはじめるような方もいるのではないでしょうか?
「ASSECLI」は不動産特定共同事業法に基づき提供される投資型クラウドファンディングサービス
「ASSECLI」は、不動産特定共同事業法(以下、不特法)に基づき厳しい規制やルールのもとで提供される、投資型クラウドファンディングサービスです。
不動産クラウドファンディングとは、「不動産特定共同事業法(以下、不特法)」という法律に基づき、国土交通省・都道府県から許可または登録を認められた事業者のみが投資家に提供可能な投資商品であり、以下のようなメリット・強みを持つサービスです。
不動産クラウドファンディング投資のメリット・強み
- 株式のような値動きがなく、堅実な配当利回りが期待できる
- 出資金の使途は対象不動産運営に関するものに限定し、リスクを限定
- 優先劣後構造で、ファンドで損失が生じてもまず事業者が負担
- 契約書は行政の審査を経ており、不当に不利な心配がない
- 面倒な不動産運用はファンド運営事業者にお任せ
- ただし元本保証はないため、複数サービスへの分散投資は重要!
不動産特定共同事業法は厳しい投資家保護のためのルールを定めているため、サービスやファンド運営を行う事業者は全て、このルールに従って投資家保護に取り組んでいます。
(上記のうち、優先劣後構造については厳密には法律に定める義務ではないため、ヤマワケエステートなど一部該当しない事業者が存在します。)
「ASSECLI」についても当然東京都知事の許可を取得しており、サービスやファンド運営についても行政の監督を受けています。
(「株式会社エボルゾーン」:不動産特定共同事業 東京都知事 第115号)
不動産クラウドファンディングに共通する特徴や制度については本サイトの
「不動産クラウドファンディングとは?」で解説していますので、ご確認ください。
「ASSECLI」の運用実績
まずは、定量的なデータから、他の不動産クラウドファンディングサービスと比較して、サービスの特長や傾向をチェックしてみましょう。
利回りは当サイトが収集する不動産クラウドファンディングサービスの平均を超えており、ほどよい利回りが期待できます。
ファンドで損失が発生した場合に投資家の元本を保護する劣後出資比率が平均より低めですが、オーソドックスな一棟アパート投資ですので、ノウハウを持つ運営事業者が事業を行うため、損失が発生するとしても不動産の価値自体がゼロになるケースは、天災や災害などのごく限定されたケースです。
巨額の損失が出る可能性は低いため、管理人はファンドの安全性と利回りのバランスは悪くないサービスと考えています。
「ASSECLI」のサービスの魅力、特徴
「ASSECLI」の特徴は、以下のポイントとなります。
「ASSECLI」の特徴、魅力
- 個人投資家にも身近な「一棟アパート・マンション投資」への小口投資が可能
- 運営会社は一棟アパート等を1,000件以上扱った実績のある事業者
- 劣後出資比率は低めだが、案件のリスクもそこまで高くないため、バランスは悪くない
- ファンドの組成頻度が不安定な時期があったが、2025年度6カ月に4ファンドと好ペースでファンド組成
管理任は投資先候補としていたのですが、投資の機会が得られないまま当サイトのサービスランキングからも消えて(直近6ヶ月のデータで日々スコア付けしているため)しまっているサービスです。
再度募集が始まるか、様子をウォッチしたいところです。
「ASSECLI」を運営する「株式会社エボルゾーン」とは?
不動産クラウドファンディングは、「面倒な不動産運用はファンド運営事業者にお任せ」する投資商品です。
投資先を選ぶ際には、ファンド運営事業者の不動産事業のノウハウや財務状況を確認することが非常に重要になります。
そこで、「ASSECLI」を運営する「株式会社エボルゾーン」をチェックしてみましょう。
「株式会社エボルゾーン」の基本情報
2011年創業の不動産会社ですが、一棟収益不動産(アパートやマンション、商業ビルなど)の扱い実績を積み上げ、既に1,000件以上の取扱実績がある企業です。
一棟収益物件の仕入れルートや販売チャネルをしっかり持っている他、賃料や売買マーケットのデータやバリューアップノウハウについても高いノウハウを持つことが期待できますので、ノウハウのある企業にファンド運営をお任せできるという点は魅力でしょう。
「株式会社エボルゾーン」の決算情報チェック
まず、当サイトに掲載している「株式会社エボルゾーン」の決算(2024.9末期)をご覧ください。
運営企業の財務の健全性があらわれる「BS」を見ると、自己資本比率は同業種と比較して非常に高い水準となっています。
健全性が高いというのは間違いないのですが、2024.9末期の決算には少し特殊事情があるため、補足します。
エボルゾーンのように不動産を買い取った上でリノベーション等を実施して再販するモデルでは、不動産の在庫を抱えておくことになります。
この在庫が純資産に対して過剰だと自己資本比率が低下してしまう、という構造なのですが、エボルゾーンは2024.9末時点で、販売用不動産を全て売り切ってしまっています。
そのために、一時的に総資産規模が縮小していますが、後述するように年間20億円~40億円規模の不動産を売却している企業ですから、期中では在庫を同等規模確保しているのが通常の状態でしょう。
現在の自己資本比率は、販売用不動産の在庫がゼロという特殊なタイミングの数値だという理解は必要ですが、それでも売上20億円~40億円に対して純資産20億円超というのは、かなり堅牢な財務状況と見てよいでしょう。
運営企業の利益を稼ぐ力があらわれる「PL」を見ると、2023年度は前年度に比べて経常利益率が低下しましたが、2024年度は非常に高い利益率を確保しています。
驚くべきことに、(当サイトでは分計していませんが)2023年度末には販売用不動産の在庫が6億円程度であった中、2024年度の売上が40億円ということで、大層は、2024年度中に仕入れて、年度中に転売益を確保できたということです。
かなり高回転に販売できていますし、この規模で買取再販事業を実施しながら、年度末在庫がゼロ=売りにくい物件を残していないというのはかなりすごいことだと感じます。
懸念点があるとすれば、昨期末の販売用不動産在庫がゼロということ。
これは今期に向けた仕込み在庫が無い(つまり、今期の販売は頑張らないといけない)ということですが、昨年度のように高回転に物件を転売していけるなら問題ないので、継続できるかがキーでしょうか。
ただ、財務面では現預金が24億円弱、純資産も23億円積み上がっていますので、今のファンド組成規模であればかなり堅実な財務状況とみてよいと思います。
※決算の見方については、別記事「
不動産クラウドファンディング事業者の決算チェックポイント」で解説していますので、興味を持った方はご欄下さい。
まとめ:「ASSECLI」とは?
ハイリスクハイリターン型のファンドと比べると利回りは目立ちませんが、「ミドルリスクミドルリターン」型のバランスの良いサービスではないでしょうか?
不動産クラウドファンディング投資をしていると、少しずつ現物不動産投資に詳しくなり、自身で不動産投資にチャレンジしたくなる方も出てくるのでは、と思うのですが、そういった方がチャレンジしやすいのは、区分マンションと一棟アパートでしょう。
「ASSECLI」で扱う不動産のほとんどが一棟収益アパートのため、不動産投資に興味を持った方にとっては、面白いサービスではないでしょうか。
最後に
ここまで「ASSECLI」の魅力と留意点をご説明しましたが、ファンドの提供が今後いつあるのかは、見通せませんので、ファンド募集状況を継続ウォッチしていきます。
不動産クラウドファンディング投資は堅実な利回り投資が期待できる投資商品ですが、万が一の運営事業者の倒産リスクの可能性も踏まえ、分散投資が非常に重要になりますので、新たな投資先候補として検討されるのは、いかがでしょうか?
なお、当サイトではリスク分散の観点で、複数のサービスに対する分散投資を強く推奨しており、投資先サービスやファンド探しに役立つ情報の収集、掲載に努めていますので、他サービスについても是非ご確認下さい。