店舗付き事務所に投資するインカム型×劣後出資比率40%で元本棄損リスクを抑制した商品設計
今回のファンドは平成元7年築の店舗付きの2F建て事務所ビルのインカム収入から配当をめざすインカム型ファンドです。
後述するような空室リスクはあるものの、
多少の空室期間が生じても想定利回り12%が得られるハイリターン型のファンドとしつつ、劣後出資比率を40%とかなり高い水準とすることで、投資家の元本棄損リスクを大きく抑制しています。
ハイリターン型ファンドで多い開発型ではなく稼働中の建物のため、資産価値が大きく下落するリスクはそもそも低いのですが、劣後出資比率40%ということは、
ファンドで40%の損失が生じても投資家の元本が守られる安全設計となっていますので、元本棄損リスクを抑制しながら、うまくいけば想定利回り12%の満額配当が得られる、かなり魅力の高いファンドではないでしょうか。
2テナントのみという構成のため、想定外の空室発生があると満額配当ができない可能性は有り
本物件は2階建てですが、各フロアに1テナントが入る形となっており、空室発生時に賃料収入が大きく減少します。
1Fには居酒屋「いろはにほへと 伊達店」は、「牛角」「大戸屋」「かっぱ寿司」「フレッシュネスバーガー」などを展開する大手外食グループ「コロワイドグループ」傘下の居酒屋チェーンで、2015年8月から物件を賃借して営業中。賃貸借契約期間が約5年残っている他、6か月前の予告により中途解約することができるもののその場合には違約金徴収ができる条件のため解約リスクは高くありません。
一方、2F事務所は現在売り主が入居しているものの2025年1月末に退去することが決まっているため、それまでに新たな入居者を誘致することで収益の最大化が図れます。
ファンドの収支シミュレーション上は、2Fのリーシング(入居者付け)ができなくとも配当ができる計画とはなっているものの、想定外の費用増などで満額配当が得られない可能性はありますので、リーシングが順調に進むことが望ましいでしょう。
本ファンドではマスターリースがないため、想定外の空室などにより想定利回り12%が満額得られない可能性はあるものの、ハイリスクな開発型や権利調整ものに比べて元本棄損リスクが大きく抑制されたファンドで、想定利回り12%が狙えるというファンドは、かなり好条件と言えます。
その他の懸念をあえて挙げると、ファンド運営事業者の純資産は1億円強、自己資本比率も13.68%と、財務が堅牢とは言えない点があります。
ただ、仮にキャッシュフローが厳しい状況であれば、投資家保護のために高い劣後出資金を確保しているこのファンドの設計を見る限り、運営事業者が投資家保護を重視ていることを疑う必要はないと管理人は考えます。
トータルで見て非常に好条件のファンドではないでしょうか。
投資家への配当、元本償還時期も早い
不動産クラウドファンディングでは、運用期間終了から配当や元本償還までに期間を要するファンドが多いのですが、本ファンドは、「2025年6月30日」に運用終了後、「2025年7月3日」に元本の払い戻しと、たった3日での元本償還が予定されています。
投資家としては運用後はなるべく早く次の投資先に資金をまわしたいところですので、この点も魅力は大きいのではないでしょうか。