「ちょこっと不動産」とは?
2021年7月のサービス開始以降、30件を超えるファンドを組成し、29ファンド(2024.5時点)を無事に運用完了している、実績のある不動産クラウドファンディングサービスです。
ファンドの組成頻度は安定しているのですが、ファンドの集金規模が3,000万円程度まで、期間は3カ月、利回りも4%弱と、「ちょこっと」というサービス名とマッチした、小口のファンドとなっています。
特長としては、劣後出資比率が平均40%程度と極めて高く、よほどのことがない限り元本が棄損しない商品設計になっています。
対象物件もほとんどが戸建住宅の分譲型ファンドで、運営会社の得意領域の事業のため高いノウハウで建築、売却までの事業を完遂してくれることが期待できますので、安全性の高い投資先を探索したい時に魅力のあるサービスです。
この記事では、このサービスについて詳しく解説します。
「ちょこっと不動産」は不動産特定共同事業法に基づき提供される投資型クラウドファンディングサービス
「ちょこっと不動産」は、不動産特定共同事業法(以下、不特法)に基づき厳しい規制やルールのもとで提供される、投資型クラウドファンディングサービスです。
不動産クラウドファンディングとは、「不動産特定共同事業法(以下、不特法)」という法律に基づき、国土交通省・都道府県から許可または登録を認められた事業者のみが投資家に提供可能な投資商品であり、以下のようなメリット・強みを持つサービスです。
不動産クラウドファンディング投資のメリット・強み
- 株式のような値動きがなく、堅実な配当利回りが期待できる
- 出資金の使途は対象不動産運営に関するものに限定し、リスクを限定
- 優先劣後構造で、ファンドで損失が生じてもまず事業者が負担
- 契約書は行政の審査を経ており、不当に不利な心配がない
- 面倒な不動産運用はファンド運営事業者にお任せ
- ただし元本保証はないため、複数サービスへの分散投資は重要!
不動産特定共同事業法は厳しい投資家保護のためのルールを定めているため、サービスやファンド運営を行う事業者は全て、このルールに従って投資家保護に取り組んでいます。
(上記のうち、優先劣後構造については厳密には法律に定める義務ではないため、ヤマワケエステートなど一部該当しない事業者が存在します。)
「ちょこっと不動産」についても当然、東京都知事の許可を取得しており、サービスやファンド運営についても行政の監督を受けています。
(株式会社良栄:不動産特定共同事業 東京都知事 第123号)
不動産クラウドファンディングに共通する特徴や制度については本サイトの
「不動産クラウドファンディングとは?」で解説していますので、ご確認ください。
「ちょこっと不動産」を他サービスと比較してみる
まずは、定量的なデータから、他の不動産クラウドファンディングサービスと比較して、サービスの特長や傾向をチェックしてみましょう。
他サービスと比較すると、利回りは控えめですが、劣後出資比率が極めて高いことが確認できるでしょう。
劣後出資比率が40%ということは、ファンドで40%の損失が出るようなことになっても、その損失を事業者が全て負担できるということです。
本ファンドでは「戸建て住宅の分譲」がメインと記載しましたが、みなさんの近場の戸建て住宅が、当初の販売予定価格から4割値下げになっているケースを見たことがあるでしょうか?
そこまでの値下げを強いられるのはよほどのケースです。
もちろん自然災害で損害を受けるケースなど、絶対にリスクがないとは言えませんが、劣後出資比率40%というのはかなり投資家保護を重視したファンド設計となっていますので、リスクが高めのファンドに投資する場合、一定比率はこういった安全性重視のファンドに分散投資することは重要でしょう。
ちょこっと不動産 ファンド提供状況
項目
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直近6カ月
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累計
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全サービス平均
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利回り
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3.9%
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4.4%
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6.07%
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劣後出資比率
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41.2%
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41.9%
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18.78%
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組成件数
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5件
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33件
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–
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資金調達額
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1億4,410万円
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8億132万円
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–
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運用終了額
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–
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6億2,222万円
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–
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※2024年5月時点。比較対象は当サイトが収集対象としている「管理人が投資対象候補としたい厳選23サービス」の平均値です。
「ちょこっと不動産」のサービスの魅力、特徴
これまで見た通り、安全性の高さに強みがあるファンドですが、扱う不動産が「戸建住宅」という点も、不動産投資に詳しくない人にもわかりやすいですね。
戸建住宅の建築完工、売却までを行うファンドということで、「どんなビジネスかわからない」「どんなリスクがあるかわからない」といった不安が少なく、初心者の方がはじめて不動産クラウドファンディングに投資するにはもってこいのサービスではないでしょうか。
特長をまとめると、以下のようなポイントとなります。
「ちょこっと不動産」の魅力、特徴
- 利回りは控えめな4%弱程度ながら、劣後出資比率40%の非常に高い安全性を誇るファンド
- 運営事業者の得意な戸建分譲を中心としており、事業者の開発、販売ノウハウが期待できる
- 安全性の高い投資先を探索する際の有力候補となるサービス
- ただし、募集額・運用期間が短いため、大規模な投資枠の配分は難しい
- 不動産クラウドファンディング初心者にもリスクがイメージしやすく、初心者には最適
「ちょこっと不動産」を運営する「株式会社良栄」とは?
不動産クラウドファンディングは、「面倒な不動産運用はファンド運営事業者にお任せ」する投資商品です。
投資先を選ぶ際には、ファンド運営事業者の不動産事業のノウハウや財務状況を確認することが非常に重要になります。
そこで、「ちょこっと不動産」を運営する「株式会社良栄」をチェックしてみましょう。
「株式会社良栄」の基本情報
まずは「ちょこっと不動産」運営する「株式会社良栄」の基本情報を確認しておきましょう。
創業30年を超える老舗の不動産会社で、事業内容は以下の通りで、戸建住宅からアパート・マンションの開発を本業として力を入れていることが確認できます。
・不動産開発事業(戸建、アパート、マンション、テナントビル)
・中古マンションリノベーション再販
・不動産賃貸事業
・不動産ファンド事業
戸建住宅の分譲事業では、地域に根差した土地の仕入れやニーズ把握はもちろん重要ですが、現在の人手不足や物価高騰もあり、建築を担う良質な工事会社の確保が重要になります。
本業として力を入れている領域ですので、ファンド運営に本業のノウハウや工事調整力が活きることが期待できます。
運営企業情報
項目
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情報
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運営企業名
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株式会社良栄
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代表者
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代表取締役 森田良人
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住所
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東京都新宿区西新宿6丁目14-1 新宿グリーンタワービル18F
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TEL
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03-6258-1628
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会社設立
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1991年02月
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「株式会社良栄」の決算情報チェック & 業界平均との比較
まず、当サイトに掲載している「株式会社良栄」の決算(2024.5時点)を見てみましょう。
運営企業の財務の健全性を確認できる「BS」を見ると、当サイトが収集する不動産クラウドファンディング事業者の平均には若干及びませんが、年々純資産を積み上げており、安心感のある数値です。
なお、当サイト独自の指標として、不動産クラウドファンディングでの直近1年間の募集額と運用期間から、運用中の資産規模を算出しています。
純資産に対して過度に運用資産規模が膨らむのは危険ですが、純資産40億円に対して、不動産クラウドファンディングでの資金運用は2億円弱程度と、ごく小規模となっており、ファンドで損失が生じても、運営事業者の事業運営に与える影響は微々たるものですので、トラブルが起きても万全の対応を行うだけの余力があります。
次に、運営企業の利益を稼ぐ力を確認できる「PL」を見ると、当サイトが収集する不動産クラウドファンディング事業者の平均を大きく超えて、堅実に利益を積み上げていることが確認できます。
2023年度度は前年度の売上規模を大きく拡大し、売上高170億円まで引き上げていますが、利益率や自己資本比率も確保しており、非常に堅調に事業を成長させていることが確認できます。
※決算の見方については、別記事「
不動産クラウドファンディング事業者の決算チェックポイント」で解説していますので、興味を持った方はご欄下さい。
株式会社良栄 決算情報(BS)
項目
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2023年08月31日
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2022年08月31日
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2021年08月31日
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全サービス平均
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総資産
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180億2,681万円
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170億1,291万円
|
111億100万円
|
–
|
純資産
|
40億9,578万円
|
30億1,252万円
|
25億8,386万円
|
–
|
自己資本比率
|
22.72%
|
17.71%
|
23.28%
|
23.42%
|
運用中資産規模 AUM(※)
|
1億8,600万円
|
–
|
–
|
–
|
AUM÷純資産
|
0.05
|
–
|
–
|
8.13
|
現預金
|
25億5,550万円
|
22億1,787万円
|
24億2,375万円
|
–
|
現預金比率
|
14.18%
|
13.04%
|
21.83%
|
8.66%
|
※直近1年間のファンドの募集額に運用期間(年換算)を乗じることで、現在運用中ファンドにおける投資家からの出資金規模を算出。(当サイト独自指標です)
株式会社良栄 決算情報(PL)
項目
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2023年08月31日
|
2022年08月31日
|
2021年08月31日
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全サービス平均
|
売上高
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174億9,673万円
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90億3,183万円
|
93億3,244万円
|
–
|
売上総利益
|
29億8,865万円
|
19億6,840万円
|
17億8,844万円
|
–
|
売上総利益率
|
17.08%
|
21.79%
|
19.16%
|
18.64%
|
営業利益
|
13億4,895万円
|
5億1,254万円
|
4億6,783万円
|
–
|
営業利益率
|
7.71%
|
5.67%
|
5.01%
|
2.95%
|
経常利益
|
13億4,895万円
|
5億1,254万円
|
4億6,783万円
|
–
|
経常利益率
|
6.9%
|
7.3%
|
5.87%
|
1.44%
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※2024年5月時点。比較対象は当サイトが収集対象としている「管理人が投資対象候補としたい厳選23サービス」の平均値です。
まとめ:「ちょこっと不動産」とは?
ファンドの募集規模・運用期間が短く、高い劣後出資比率による安全性に加えて運営企業の財務も堅実ですので、安全性の高い投資先を探すケースや、初心者の最初の投資先として魅力の高いサービスです。
管理人も、利回りの高いハイリスクタイプのファンドに一定の比率を投資していますが、安全性の高いファンドの比率を一定以上確保しないと、トータルのリスクが高まりすぎますので、このサービスに魅力を感じています。
また、運用期間が短いため、条件の良いファンドが見つかるまでのつなぎの投資先としても魅力があります。
抽選に外れたり、思ったタイミングで投資できないことも多いため、投資先候補を複数持っておくと、不動産クラウドファンディングでの運用がやりやすくなります。
最後に
ここまで「ちょこっと不動産」の魅力と留意点をご説明しました。
不動産クラウドファンディング投資は堅実な利回り投資が期待できる投資商品ですが、万が一の運営事業者の倒産リスクの可能性も踏まえ、分散投資が非常に重要になりますので、新たな投資先候補として検討されるのは、いかがでしょうか?
なお、当サイトではリスク分散の観点で、複数のサービスに対する分散投資を強く推奨しており、投資先サービスやファンド探しに役立つ情報の収集、掲載に努めていますので、他サービスについても是非ご確認下さい。
鈴木 万里夫(仮)
株式投資歴20年以上を経た後、株式・投資信託との分散投資先として不動産クラウドファンディング投資をスタート。
不動産クラウドファンディング投資実績10ファンド / 1,000万円以上。今後もコンスタントに年間10ファンド程度に分散投資を継続予定。
投資検討のために自身が欲しい情報を集約できる投資サポートサイトとしてInvestor’s EYEを企画し、現在管理人として運営中。
【保有資格】 不動産証券化協会認定マスター / 宅地建物取引士