2025年の不動産クラウドファンディング、書面契約を含めた不動産特定共同事業では、様々な投資家被害が生じてします。
投資家には、投資先サービス、及び、サービスを運営する事業者の見極めが、より重要な局面になっているのではないでしょうか。
本記事では、その参考情報の一つとして、サービス運営事業者がにおける被保険雇用者数(≒運営企業の社員数)を一覧で比較してみました。
なお、サービス個々の事業内容や運営事業者の財務、決算状況なども個別記事にまとめていますので、合わせて投資検討時の参考情報としていただけますと幸いです。
<目次>
1-1.2025年に不動産クラウドファンディングで起きたこと
1-2.トラブルにより生じた投資家の不動産クラファン離れ、要求利回りの上昇
2.不動産クラウドファンディング運営事業者の社員数と事業規模一覧
2-1.社員数を確認することの意味
2-2.事業内容ごとに必要となる社員数、稼働量について
2025年に不動産クラウドファンディングで起きたこと
本題の一覧比較データの前に、2025年に起きた様々な投資家被害の一部を振り返ります。
2025年に起きたトラブル
2024年にみんなで大家さんの償還遅延が発生しましたが、2025年には配当停止という投資家被害に発展し、集団訴訟も起きています。
ヤマワケエステートでは2025年3月の償還遅延発生以降も遅延ファンドが増加してお り、100億円規模の償還遅延や延長が発生している他、LEVECHYでも30億円規模償還遅延が発生。
現時点では投資家の元本棄損は生じていないものの、ヤマワケエステートの親会社REVOLUTION社ではファンド保有資産の減損損失を計上していますので、今後ファンドの運用終了時に、投資家の元本棄損が生じる可能性が生じています。
また、償還遅延には至らないものでも、売却益で配当するキャピタル型ファンドにおいては、予定した事業期間での売却が完了せず、または予定した物件開発が完了しないまま再組成(1年程度延長しての投資家からの出資再募集)になる案件はFUNDI、DARWIN、TOMOTAQU、わかちあいファンドなど多くのファンドで確認されました。
TECROWDにおいては、楽待新聞で、不動産を建築、売却して償還されたとされていた海外ファンドが、現地確認の結果建物が無かったことも確認されました。
更に、2025年7月にはDAIMLAR FUNDの運営企業が破産しており、ファンドにおける損失はまだ確定していませんが、運営企業の清算後に損失が確定する可能性がある状況となっています。
トラブルにより生じた投資家の不動産クラファン離れ、要求利回りの上昇
これらの情報はSNS等でも広く発信されており、投資家の不動産クラファン離れも生じています。
結果、集金に苦しむ事業者では、利回りの上昇や特典の追加、ポイントサイトでの大幅なキャッシュバックを付けての集金を余儀なくされるケースも生じており、ファンド運営コスト、特に出資募集を行うためのコストの高騰による事業収支悪化影響も今後出てくるかもしれません。
また、不動産クラファンは短期間の運用ファンドが多いですが、この元本償還には必ず物件の売却が必要です。
物件の売却ができない場合には、ファンドの再組成で、改めて投資家の出資を募る必要がありますが、投資家から出資が集まらない場合、既存ファンドの出資者には「運用期間延長」または「償還遅延」という形で、資金を当初想定運用期間を超えて拘束されることになります。
利回り上昇、特典やキャッシュバック強化は、投資家にとって有利なのか?
配当利回りの上昇や特典の追加は投資家にとっては一見有利に見えますが、不動産事業自体の粗利率が向上しているわけではない中ですので、運営事業者側には負担が大きくなってきます。
投資家の高利回り期待に応えるべく、事業者が高い利回りや特典の追加を行えるだけの高い粗利率、IRRを期待できる案件にチャレンジするということは、よりリスクの高い事業にチャレンジしている可能性があります。
最悪の場合、事業者の破綻や、事業に苦戦した事業者による資金の目的外流用といった形で投資家被害が発生するような可能性も出てくるかもしれません。
事業者の倒産時は、そのサービスの全てのファンドが影響を受けます。会社の債権債務を清算した後、別除権のある銀行融資や従業員の給与等を支払った後、残った資産を債権者、投資家が分け合うため、会社の資産状況によっては、ファンド出資者にはほとんどお金が返ってこないといった可能性もあります。
株式市場や金、ビットコイン価格が乱高下する中、不動産クラウドファンディングは出資元本の値動きがなく、堅実な利回り投資ができることに魅力を感じる投資家もいると思いますが、不動産クラファンも元本保証のないリスク投資です。
ファンドが取得する不動産の価値や事業内容に加えて、運営事業者についても調査した上で、リスク受容可能な範囲で投資することが重要です。
不動産クラウドファンディング運営事業者の社員数と事業規模一覧
企業の社員数については、
厚生年金保険・健康保険・適用事業所検索システムにより、被保険雇用者(≒運営企業の社員数)の検索が可能です。
以下に当サイト掲載事業者に加えて、当サイト掲示板で過去に調査依頼があった大手事業者の情報をまとめましたので、投資検討時の参考としていただければ幸いです。
| サービス |
ファンド運営事業者 |
直近6カ月の募集額 |
被保険雇用者数 |
ファンドで行う事業 |
| COZUCHI |
株式会社TRIAD |
135億円 |
49 |
買取再販業中心だが、一部で開発実績も |
| TECROWD |
TECRA株式会社 |
102億円 |
8 |
海外、国内データセンター、グループホーム等開発事業 |
| ヤマワケエステート |
ヤマワケエステート株式会社 |
101億円 |
58 |
開発事業から買取再販まで多様な事業をファンドで実施 親会社WeCapital37名、その親会社REVOLUTION14名を含む |
| CREAL |
クリアル株式会社 |
90億円 |
220 |
完成済みの物件の運営を中心としたアセットマネジメント事業 |
| TORCHES |
TORCHES株式会社 |
79億円 |
102 |
買取再販事業、戸建て住宅開発事業 親会社エムトラスト社92名を含む |
| CAMEL |
株式会社グローバルクラウドエステート |
54億円 |
1 |
海外、国内で多種多様な事業 |
| TSON |
株式会社TSON |
49億円 |
37 |
アパート開発、販売事業 |
| 利回り不動産 |
株式会社ワイズホールディングス |
39億円 |
13 |
リゾート開発・運営事業や買取再販事業 グループ会社のスリーワイズエステート者4名を含む (ワイズデベロップメントは非保険雇用者確認できず) |
| DARWIN funding |
ダーウィンアセットパートナーズ株式会社 |
29億円 |
51 |
マンション開発業、販売業 |
| みらファン |
株式会社みらいアセット |
27億円 |
43 |
買取再販業、アセットマネジメント事業 親会社のみらいホールディングス26名含む |
| TOMOTAQU |
株式会社イーダブルジー |
24億円 |
36 |
リゾート、マンション等の開発事業や買取再販事業 |
| らくたま |
株式会社フロンティアグループ |
22億円 |
17 |
買取再販業、不動産運用業 |
| VictoryFund |
カチデベロップメント株式会社 |
17億円 |
6 |
買取再販事業 |
| わかちあいファンド |
株式会社日本プロパティシステムズ |
16億円 |
30 |
リゾート、マンション等の開発事業や買取再販事業 |
| FANTAS Funding |
ファンタステクノロジー株式会社 |
7億円 |
127 |
区分マンション買取再販事業 |
| NINE FUND |
株式会社ファクター・ナイン |
6億円 |
47 |
マンション開発、運営事業 物件運営を行う子会社ファクター・ナインサービス38名を含む |
2026/2/8時点の調査結果
社員数を確認することの意味
不動産ファンドでは、投資家は不動産の運用を行わず、運営事業者(匿名組合の営業者)に運用や売却を一任することになります。
資産価値が安定した既に収益を生んでいる不動産を運用するようなファンドでは、比較的運用者固有のノウハウに依存する部分が小さいかもしれませんが、現在の不動産クラウドファンディングでは高い利回りが求められる中、ハイリスクな開発型や素地買取再販、権利調整といった事業が多数存在しており、事業者のノウハウやトラブル対応能力、物件の審査能力等により、事業の成功率が大きく影響を受ける事業が多くなっています。
能力の質、ノウハウだけではなく、多くの案件を同時並行で推進するためには、物理的な人数も必要になりますので、ファンドが扱う物件に関わるプロジェクト推進能力、トラブル対応能力を見る上では、社員数は重要なキーポイントになります。
また、資金が投資家に説明された事業に対して適切に支出されているかどうか、標榜されている事業内容に沿う人員が確保されているかを確認することで、資金の目的外流用なども回避できる可能性があります。
事業内容ごとに必要となる社員数、稼働量について
例えば買取再販事業を行う場合、良い物件の仕入れを行うために、必要な案件数に応じて営業マンが必要です。営業マンは基本的に足を使い、接待やゴルフなども重要な営業活動として仕入れ活動を展開します。
また、その売却のためには、同様に営業活動が求められます。
取り扱う物件が区分マンションのように個人投資家への架電営業を伴うものの場合、大量の架電営業担当を雇用することも必要になります。
開発事業を行う場合は、仕入れに加えて、開発プロジェクトの推進稼働が必要であり、多くの物件を扱うには、設計士を社内に雇用することも考える必要があります。
この手の事業では、事業計画通り、何も問題なく竣工に至ることが当然ではなく、例えば隣地トラブルやゼネコンの進捗遅れ、コスト上昇などの課題に対して、日々調整やトラブル対応が必要ですので、一人で扱えるプロジェクト数には限界があり、プロジェクト数に応じて人員数が必要になります。
建築フェーズでは外部の設計・施行監理会社に丸投げできるか、というと、定期的に実施する定例会議や、タイミングタイミングでの現場定例会議なども開催が必要であり、施工現場が事業所から遠い場合には、プロジェクト推進業務を担う社員の負担は非常に大きくなります。
また、開発事業では多様な契約やその費用清算といった経理処理、決算処理にも稼働が必要になりますので、そのための人員も必須になります。
ファンド運営においても当然多くのトラブルが生じ、そのトラブルを円滑に処理してプロジェクトの竣工、運営、物件売却までを円滑に推進するための人員の質と量は、投資家にとっても非常に重要と言えます。
最後に
こうして一覧でまとめてみると、ほとんどの企業において、ファンドで行う事業規模と社員数に違和感の小さい状態だと確認できたのではないでしょうか。
もし、ファンドで行う事業内容に対するプロジェクト推進体制に不安を感じる運営企業が有るようであれば、投資判断の際に考慮することも必要かもしれません。