「わかちあいファンド」とは
2019年10月のサービス開始以降40ファンド以上の償還実績がある老舗の不動産クラウドファンディングサービスの一つです。
ファンドで取り扱う不動産は、
滋賀・京都エリアのマンションを運営するインカム型ファンドからリゾート開発まで多様なため、首都圏のレジ系物件(マンション等)を中心に投資している方にとっては、
エリア分散やアセットタイプの分散効果が得られるため、分散投資先としての魅力が大きいのではないでしょうか?
不動産クラウドファンディングの多くは倒産隔離がされておらず、特定の運営事業者に出資先を集中させることはおすすめできませんので、投資先の分散という意味でも、もちろん大きな意味があります。
「わかちあいファンド」は不動産特定共同事業法に基づき提供される投資型クラウドファンディングサービス
「わかちあいファンド」は、不動産特定共同事業法(以下、不特法)に基づき厳しい規制やルールのもとで提供される、投資型クラウドファンディングサービスです。
不動産クラウドファンディングとは、「不動産特定共同事業法(以下、不特法)」という法律に基づき、国土交通省・都道府県から許可または登録を認められた事業者のみが投資家に提供可能な投資商品であり、以下のようなメリット・強みを持つサービスです。
不動産クラウドファンディング投資のメリット・強み
- 株式のような値動きがなく、堅実な配当利回りが期待できる
- 出資金の使途は対象不動産運営に関するものに限定し、リスクを限定
- 優先劣後構造で、ファンドで損失が生じてもまず事業者が負担
- 契約書は行政の審査を経ており、不当に不利な心配がない
- 面倒な不動産運用はファンド運営事業者にお任せ
- ただし元本保証はないため、複数サービスへの分散投資は重要!
不動産特定共同事業法は厳しい投資家保護のためのルールを定めているため、サービスやファンド運営を行う事業者は全て、このルールに従って投資家保護に取り組んでいます。
(上記のうち、優先劣後構造については厳密には法律に定める義務ではないため、ヤマワケエステートなど一部該当しない事業者が存在します。)
「わかちあいファンド」についても当然滋賀県知事の許可を取得しており、サービスやファンド運営についても行政の監督を受けています。
(株式会社日本プロパティシステムズ:滋賀県知事 第1号)
不動産クラウドファンディングに共通する特徴や制度については本サイトの
「不動産クラウドファンディングとは?」で解説していますので、ご確認ください。
「わかちあいファンド」を他サービスと比較してみる
まずは、定量的なデータから、他の不動産クラウドファンディングサービスと比較して、サービスの特長や傾向をチェックしてみましょう。
インカム型ファンドを多く扱っていることもあり、平均利回りは当サイトで収集する不動産クラウドファンディングサービスの平均に及びませんが、リゾート開発型ファンドでは想定利回り7%程度のファンドも扱っています。
ファンドの組成件数も6カ月間で14ファンドと多く、かつ、投資家の志向や利回り水準に応じて多様なファンドが提供されています。
投資機会が多く得られることから、分散投資先としての魅力は高いのではないでしょうか。
わかちあいファンド ファンド提供状況
項目
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直近6カ月
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累計
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全サービス平均
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利回り
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6%
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5.6%
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6.19%
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劣後出資比率
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9.4%
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9.4%
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19.42%
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組成件数
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15件
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70件
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–
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資金調達額
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11億9,660万円
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47億5,000万円
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–
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運用終了額
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–
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23億6,260万円
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–
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※2024年6月28日時点。比較対象は当サイトが収集対象としている「管理人が投資対象候補としたい厳選26サービス」の平均値です。
「わかちあいファンド」のサービスの魅力、特徴
サービスの魅力・特徴をを上げると、以下のポイントになります。
「わかちあいファンド」のに力、特長
- 滋賀・京都の物件やリゾート開発に投資可能で、分散効果有り
- インカム型から開発型までのファンドで、多様な投資家ニーズに応える
- ファンドの組成頻度が高く、募集額も比較的大きいため投資機会が多い
- 半面、運営企業の純資産に対する資金調達規模が大きいため、1サービスへの集中投資はおすすめしません
最後の留意点については、後ほど解説します。
「わかちあいファンド」を運営する「株式会社日本プロパティシステムズ」とは?
不動産クラウドファンディングは、「面倒な不動産運用はファンド運営事業者にお任せ」する投資商品です。
投資先を選ぶ際には、ファンド運営事業者の不動産事業のノウハウや財務状況を確認することが非常に重要になります。
そこで、「わかちあいファンド」を運営する「株式会社日本プロパティシステムズ」チェックしてみましょう。
「株式会社日本プロパティシステムズ」の基本情報
2000年に滋賀で創業した、社歴20年を超える不動産会社です。
不動産特定共同事業法の事業許可を滋賀県で初めて取得するなど、新しいことにも積極的に取り組む企業のようで、公式ホームページで事業内容を確認すると、ファンド同様多様な事業を手掛けています。
逆にいうと、「核」となるような強い事業が公式ページからははっきりしない点が留意点、とも言えます。
・シェア別荘事業(わかちあいリゾート)
・宿泊事業(わかちあいステイ) ・・・民泊運営や土地利活用に関する事業
・プロパティマネジメントと建物管理事業 ・・・不動産賃貸管理に関する事業
・分譲事業 ・・・分譲用地の開発
運営企業情報
項目
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情報
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運営企業名
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株式会社日本プロパティシステムズ
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代表者
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代表取締役 森田康弘
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住所
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滋賀県大津市島の関1-10
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TEL
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077-511-5281
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会社設立
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2000年09月
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「株式会社日本プロパティシステムズ」の決算情報チェック & 業界平均との比較
まず、当サイトに掲載している「株式会社日本プロパティシステムズ」の決算(2024.6時点)を見てみましょう。
運営企業の財務の健全性があらわれる「BS」を見ると、
自己資本比率が当サイトが収集する不動産クラウドファンディングサービスの平均を大きく下回っています。
純資産の額1.6億円に対して、不動産クラウドファンディングだけでも20億円規模の運用を行っており、総資産規模も27億円から43億円規模まで大きく拡大しています。積極的に不動産クラウドファンディング事業を展開している分、純資産に対するリスク資産の比率が高まっている状態です。
2023年末の決算データについて、当サイトでは以下のように評価していた通り、開発中で売却が完了していないリスク資産が増加していますので、
開発した不動産(特にリゾート分)の売却を担う「わかちあいリゾート」事業が円滑に軌道に乗り、売却により資産規模を圧縮するとともに、自己資本の上積みが急がれる状況だと管理人は判断します。
リゾート開発など一定のリスクがある事業も手掛けていますので、今後総資産がさらに拡大していかないかウォッチしておく方が望ましいでしょう。
運営企業の利益を稼ぐ力があらわれる「PL」を見ると、不動産自体の稼ぐ力があらわれる売上高総利益率は平均を超えていますが、2023年度の経常利益率では平均を下回っています。
これは粗利額に対して人件費や販売管理費が大きい、などの要因が考えられます。わかちあいリゾートなどの新事業立ち上げのコスト負担があるものの、運営企業の稼ぐ力についても「高い」とは言えませんので、今後の決算データやファンドの募集動向はウォッチしながら投資検討していきたいところです。
※決算の見方については、別記事「
不動産クラウドファンディング事業者の決算チェックポイント」で解説していますので、興味を持った方はご欄下さい。
株式会社日本プロパティシステムズ 決算情報(BS)
項目
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2024年03月31日
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2023年03月31日
|
2023年03月31日
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全サービス平均
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総資産
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43億4,900万円
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27億2,800万円
|
18億1,500万円
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–
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純資産
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1億6,700万円
|
1億6,000万円
|
1億4,800万円
|
–
|
自己資本比率
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3.84%
|
5.9%
|
8.2%
|
22.85%
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運用中資産規模 AUM(※)
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21億9,500万円
|
–
|
–
|
–
|
AUM÷純資産
|
13.14
|
–
|
–
|
7.7
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現預金
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–
|
–
|
–
|
–
|
現預金比率
|
–
|
–
|
–
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10.45%
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※直近1年間のファンドの募集額に運用期間(年換算)を乗じることで、現在運用中ファンドにおける投資家からの出資金規模を算出。(当サイト独自指標です)
株式会社日本プロパティシステムズ 決算情報(PL)
項目
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2024年03月31日
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2023年03月31日
|
2023年03月31日
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全サービス平均
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売上高
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22億8,800万円
|
13億1,500万円
|
6億1,300万円
|
–
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売上総利益
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4億7,500万円
|
2億7,500万円
|
1億5,700万円
|
–
|
売上総利益率
|
20.76%
|
20.9%
|
25.6%
|
18.25%
|
営業利益
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1億4,700万円
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9,100万円
|
2,900万円
|
–
|
営業利益率
|
6.42%
|
6.9%
|
4.7%
|
4.37%
|
経常利益
|
4,100万円
|
1,900万円
|
1,300万円
|
–
|
経常利益率
|
1.79%
|
1.4%
|
2.1%
|
2.92%
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※2024年6月28日時点。比較対象は当サイトが収集対象としている「管理人が投資対象候補としたい厳選26サービス」の平均値です。
シェア型リゾートを運営・販売する「わかちあいリゾート」とは?
わかちあいファンドを運営する株式会社日本プロパティシステムズは「わかちあいリゾート」という名称で、一つのヴィラを複数のオーナーで所有するシェア型リゾート事業を展開しています。
公式サイトを確認すると、「軽井沢(2物件)」「南禅寺」がシェア型別荘として販売、または販売を計画されていることが確認できます。
わかちあいリゾート公式サイト
YouTubeでもチャンネルをもっていますが、2024.6.28時点では再生数が2,000回弱と一定の関心が得られている様子は確認できますが、販売計画に対して十分なのかどうかは見た人により印象が分かれる数字でしょうか。
YouTube わかちあいリゾートチャンネル
シェア型リゾートでは、「NOT A HOTEL」などメディアからも注目を集める成功事例もありますが、わかちあいリゾートはサービス開始から間もない状況のようで、わかちあいファンドへの投資家にとっては事業が順調に軌道に乗るかが非常に重要になるので、今後のマーケティング動向、富裕層の反応などから目が離せませんね。
まとめ:「わかちあいファンド」とは?
滋賀・京都の物件やリゾート開発に投資可能で、ファンドの組成頻度が高く、募集額も比較的大きいため投資機会が多いため、分散投資先候補に加えると、資金効率を上げられる可能性があるサービスです。
一方、
決算データからは運営企業の信用力が高いとは言いにくいため、過度に投資先を集中させず、他サービスにも分散投資することをお勧めします。
最後に
ここまで「わかいあいファンド」の魅力と留意点をご説明しました。
不動産クラウドファンディング投資は堅実な利回り投資が期待できる投資商品ですが、万が一の運営事業者の倒産リスクの可能性も踏まえ、分散投資が非常に重要になりますので、新たな投資先候補として検討されるのは、いかがでしょうか?
なお、当サイトではリスク分散の観点で、複数のサービスに対する分散投資を強く推奨しており、投資先サービスやファンド探しに役立つ情報の収集、掲載に努めていますので、他サービスについても是非ご確認下さい。
鈴木 万里夫(仮)
株式投資歴20年以上を経た後、株式・投資信託との分散投資先として不動産クラウドファンディング投資をスタート。
不動産クラウドファンディング投資実績10ファンド / 1,000万円以上。今後もコンスタントに年間10ファンド程度に分散投資を継続予定。
投資検討のために自身が欲しい情報を集約できる投資サポートサイトとしてInvestor’s EYEを企画し、現在管理人として運営中。
【保有資格】 不動産証券化協会認定マスター / 宅地建物取引士