手厚いキャンペーンが特長の「DARWIN FUNDING」ですが、劣後出資と経常利益率の低下など気になる点も
2022年8月のサービス開始以降、28ファンドを組成し、20ファンドの運用を完了した実績を持つ不動産クラウドファンディングサービスです。
特に、最近は「開発型」ファンドとして、鉄骨造の一棟マンションの開発を行うファンドを継続的に組成していますが、このタイプのファンドでも19ファンドの運用を終了しています。
不動産開発では、
同じタイプの事業を継続することで信頼できる工事業者(ゼネコン)の確保ができたり、開発プラン設計やコスト低減、開発管理やリーシングなどのノウハウも高まっていきますので、特定のパターンに特化してきたことでノウハウが蓄積されていっているというのもサービスの特徴とみてよいでしょう。
ただし、運用が終了した開発型18号は、2025年7月26日に公開された開発型29号で同じ土地上で、再度開発型ファンドが組成されています。
開発型18号が無事に建物を建築して運用終了できなかったのか、現時点では確認ができていませんので、運用終了ファンドの状況についての続報が入るまで、実績やノウハウについての判定は保留とすべきかもしれません。
※不動産クラウドファンディングサービスは、不動産特定共同事業法に基づき提供される不動産投資から得られる利益を原資に配当、元本償還を行う投資商品です。
不動産クラウドファンディングサービス共通の特徴については記事後半で解説します。
また、
単純な利回りではなく、「Amazonギフト券」の特典を強化していることも特長のサービスです。
例えば「開発型21号」では、出資額に応じてAmazonギフト件が投資家全員にプレゼントされるのですが、
300万円投資すると4%相当の12万円分のAmazonギフトが得られます。(100万円でも2%分の2万円分)
想定利回り6%のファンドでも、Amazonギフトも合わせれば10%相当の利回りが得られるため、このキャンペーンも踏まえるとなかなかの高利回りになります。
「DARWIN FUNDING」を他サービスと比較してみる
まずは、定量的なデータから、他の不動産クラウドファンディングサービスと比較して、サービスの特長や傾向をチェックしてみましょう。
利回りは当サイトで収集する不動産クラウドファンディングサービスの平均を若干下回りますが、キャンペーンも加えた利回りでみると、平均を上回る水準となりそうです。
劣後出資比率は昨年は20%水準を確保していましたが、直近では平均を下回る10%に低下していますので、案件収支が想定より10%を超えて悪化すると投資家の元本が棄損します。開発型ファンドとしては十分な劣後出資比率とは言えない水準に感じます。
「DARWIN FUNDING」では、マンションを開発する開発型ファンドを中心に扱っているため、
開発リスク(※)を考慮する必要がありますので、リスクとリターンのバランスを考慮して投資判断してください。
ファンド組成頻度は6ヶ月で7回とそれなりの頻度で、募集額が2億円~5億円程度と比較的大きいため、投資チャンスが多いため、分散投資先としての魅力が高いのではないでしょうか。
※物価高騰や為替変動により工事費が想定より大きくなるようなケースから、完成したマンションで想定ほどの賃料が得られないケースや空室が埋まらないなどのリスクも想定しておく必要があります。
DARWIN FUNDING ファンド提供状況
| 項目
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直近6カ月
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累計
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全サービス平均
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| 利回り
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6.8%
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6.1%
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6.48%
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| 劣後出資比率
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10%
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15.8%
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18.76%
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| 組成件数
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7件
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32件
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-
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| 資金調達額
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27億490万円
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83億1,443万円
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-
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| 運用終了額
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-
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43億5,953万円
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-
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※2025年7月26日時点。比較対象は当サイトが収集対象としている「管理人が投資対象候補としたい厳選36サービス」の平均値です。
「DARWIN FUNDING」のサービスの魅力、特徴
「DARWIN FUNDING」の魅力、特長をまとめると、以下のポイントになります。
「DARWIN FUNDING」の魅力、特長
- Amazonギフトプレゼントキャンペーンも含めて利回りを評価すると、高い利回り水準
- 劣後出資比率が以前の20%から10%に低下しており、安全性は低下傾向
- ファンドの組成頻度が安定しており、募集額も大きいため投資チャンスが多い
「DARWIN FUNDING」を運営する「ダーウィンアセットパートナーズ株式会社」とは?
不動産クラウドファンディングは、「面倒な不動産運用はファンド運営事業者にお任せ」する投資商品です。
投資先を選ぶ際には、ファンド運営事業者の不動産事業のノウハウや財務状況を確認することが非常に重要になります。
そこで、「DARWIN FUNDING」を運営する「ダーウィンアセットパートナーズ株式会社」をチェックしてみましょう。
「ダーウィンアセットパートナーズ株式会社」の基本情報
2009年創業の10年を超える社歴を持つ不動産会社です。
社名に「アセットパートナーズ」とある通り、ファンドで取り扱いの多いマンション開発が祖業というより、投資用不動産の売買や資産運用が得意な不動産会社のようです。
ただ、ファンドサービスを継続する中
マンション開発実績を積み上げていっており、公式ホームページで事業内容を確認すると、マンション開発(デベロップメント事業)についても専用ページを新設し、自社ブランドマンションをアピールできる状態となっています。
鉄骨造のマンションにおいて、不動産クラウドファンディングで求められるような高い配当を出した上で利益を上げるのはなかなか大変なはずですが、これだけ開発型ファンドを多数組成し、運用終了させているところを見ると、仕入れやマンションプランに独自の強みを持たせる余地も出てきているのかもしれません。
「ダーウィンアセットパートナーズ株式会社」の決算情報チェック & 業界平均との比較
当サイトに掲載している「ダーウィンアセットパートナーズ株式会社」の決算をご確認下さい。
運営企業の財務の健全性があらわれる「BS」を見ると、自己資本比率が6.07%と、当サイトに掲載する事業者の平均を大きく下回りました。
当サイトが独自に算出している
ファンドで預かった資金の運用規模を見ると、直近の決算期の総資産額を上回る規模の資金調達をファンドで行っていますので、不動産クラウドファンディングを利用したマンション開発規模がかなり拡大していっていますので、開発中のマンションの竣工や売却が進み、しっかり開発事業で利益を確保できることを今後ウォッチしていくことが重要になりそうです。
次に、運営企業の利益を稼ぐ力があらわれる「PL」を見ると、営業利益率、経常利益率が平均を下回っていますね。
マンション開発事業を拡大した結果、利益率が低下しているといった可能性もありますが、直近の経常利益が1,000万円を切っている中、ファンドでの資金調達規模が膨らんでいるというのは不安要素とみる必要があるかもしれません。
特に現在は、開発型18号と29号の関係性などに疑問点もありますので、ファンド資金で開発を進める物件が竣工し、しっかりとした賃料収入を上げて物件売却が円滑に進んでいるのか、ウォッチしていくことが重要になりそうです。
管理人自身は「DARWIN FUNDING」に投資していましたが、
一定のリスクが生じる可能性も考慮し、分散投資を前提に投資検討をお願いします。
※決算の見方については、別記事「
不動産クラウドファンディング事業者の決算チェックポイント」で解説していますので、興味を持った方はご欄下さい。
まとめ:「DARWIN FUNDING」とは?
昨年時点では、キャンペーン特典も加えると高い利回りが期待でき、適度な劣後出資比率でファンドの安全性も確保するバランスの良いファンド設計だったのですが、劣後出資比率の低下と合わせて、経常利益の低下や開発型18号と29号の関係性に関する疑問点など、気になる点も目につきだした印象です。
運営企業のマンション開発実績がまだ未知数な点や、ファンドでの資金調達規模が大きくなってきている点では一定のリスクも想定しておくことが望ましいと管理人は考えますので、皆さんも個々のファンドや運営事業者の決算状況などをしっかりウォッチして投資判断を実施していただければ、と思います。
最後に
ここまで「DARWIN FUNDING」の魅力と留意点をご説明しました。
不動産クラウドファンディング投資は堅実な利回り投資が期待できる投資商品ですが、万が一の運営事業者の倒産リスクの可能性も踏まえ、分散投資が非常に重要になりますので、新たな投資先候補として検討されるのは、いかがでしょうか?
なお、当サイトではリスク分散の観点で、複数のサービスに対する分散投資を強く推奨しており、投資先サービスやファンド探しに役立つ情報の収集、掲載に努めていますので、他サービスについても是非ご確認下さい。
「DARWIN FUNDING」は不動産特定共同事業法に基づき提供される投資型クラウドファンディングサービス
「DARWIN FUNDING」は、不動産特定共同事業法(以下、不特法)に基づき厳しい規制やルールのもとで提供される、投資型クラウドファンディングサービスです。
不動産クラウドファンディングとは、「不動産特定共同事業法(以下、不特法)」という法律に基づき、国土交通省・都道府県から許可または登録を認められた事業者のみが投資家に提供可能な投資商品であり、以下のようなメリット・強みを持つサービスです。
不動産クラウドファンディング投資のメリット・強み
- 株式のような値動きがなく、堅実な配当利回りが期待できる
- 出資金の使途は対象不動産運営に関するものに限定し、リスクを限定
- 優先劣後構造で、ファンドで損失が生じてもまず事業者が負担
- 契約書は行政の審査を経ており、不当に不利な心配がない
- 面倒な不動産運用はファンド運営事業者にお任せ
- ただし元本保証はないため、複数サービスへの分散投資は重要!
不動産特定共同事業法は厳しい投資家保護のためのルールを定めているため、サービスやファンド運営を行う事業者は全て、このルールに従って投資家保護に取り組んでいます。
(上記のうち、優先劣後構造については厳密には法律に定める義務ではないため、ヤマワケエステートなど一部該当しない事業者が存在します。)
「DARWIN FUNDING」についても当然、サービス提供事業者・ファンド運営者ともに東京都知事の許可を取得しており、サービスやファンド運営についても行政の監督を受けています。
(ダーウィンアセットパートナーズ株式会社:東京都知事 第163号)
不動産クラウドファンディングに共通する特徴や制度については本サイトの
「不動産クラウドファンディングとは?」で解説していますので、ご確認ください。