Owner’s Siteとは?
2025年11月にサービスを開始した不動産クラウドファンディングサービス(※)です。
2025年は不動産クラウドファンディング業界において多くの償還遅延ファンドが発生した他、同じ不動産特定共同事業者において集団訴訟が起きるなど、業界にとっては逆風が吹いたともいえる状況でした。
そんな中、上場企業であるJトラスト株式会社の子会社であるJグランド株式会社が新たに不動産クラウドファンディングサービス業界に参入しました。
上場企業子会社ということでガバナンスや決算の正確性、親会社含めた企業の信用力については一定の期待が持てますので、是非良いサービスに成長させていっていただきたいところです。
※不動産クラウドファンディングサービスは、不動産特定共同事業法に基づき提供される不動産投資から得られる利益を原資に配当、元本償還を行う投資商品です。
不動産クラウドファンディングサービス共通の特徴については記事後半で解説します。
Owner’s Siteを他サービスと比較してみる
まずは、定量的なデータから、他の不動産クラウドファンディングサービスと比較して、サービスの特長や傾向をチェックしてみましょう。
まだ始まったばかりの状態(2025年11月6日時点)のデータですので、今後の見通しはなんとも言えませんが、初回ファンドは、本来想定利回り6%のところ、キャンペーンとして、特別に12%の条件でファンド募集されています。
これが今後想定利回り6%程度に落ち着くとすると、想定利回りは平均水準、劣後出資比率が低いサービスという評価になりそうです。
扱う不動産も1号ファンドは駅近ながら、築35年の木造一棟アパートと、資産価値が時間とともに向上するような期待は持ちにくい物件となっていました。
運営企業が得意とする収益物件は、富裕層の節税効果(減価償却による損益通算)を売りにするには、今後も法定耐用年数の短い木造が主力になるかもしれませんので、もう少し利回りが高めにならないと、たとえば「まにわく」など同じく木造築古アパートを中心に扱うサービスと比べて、利回りも劣後出資比率も見劣りしかねませんので、今後、なんらかの改善や特徴付けをしていくことになるのかもしれません。
Owner’s Site ファンド提供状況
| 項目
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直近6カ月
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累計
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全サービス平均
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| 利回り
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12%
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12%
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6.72%
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| 劣後出資比率
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7.5%
|
7.5%
|
18.22%
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| 組成件数
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1件
|
1件
|
–
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| 資金調達額
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1億3,000万円
|
1億3,000万円
|
–
|
| 運用終了額
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–
|
0円
|
–
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Owner’s Siteのサービスの魅力、特徴
サービス開始時点ではまだ魅力、特徴は把握しきれませんが、あえて書けば、以下のような特徴がありそうです。
Owner’s Siteとは
- 上場企業子会社が運営するサービス
- 運営企業が一棟収益物件の売買を得意としており、仕入れ力は販売力が期待できる
Owner’s Siteを運営するJグランド株式会社とは?
不動産クラウドファンディングは、「面倒な不動産運用はファンド運営事業者にお任せ」する投資商品です。
投資先を選ぶ際には、ファンド運営事業者の不動産事業のノウハウや財務状況を確認することが非常に重要になります。
そこで、Owner’s Siteを運営する「Jグランド株式会社」をチェックしてみましょう。
Jグランド株式会社の基本情報
Jグランド株式会社は創業2009年と、一定の歴史のある不動産会社です。
主にアパートやマンションなどの収益物件の買取再販や開発を行っており、収益不動産投資に関心のある顧客層への販売力や、収益物件の仕入れ力が不動産クラウドファンディングサービスにも活用できることが期待できそうです。
運営企業情報
| 項目
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情報
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| 運営企業名
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Jグランド株式会社
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| 代表者
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代表取締役 藤原治
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| 住所
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東京都渋谷区恵比寿四丁目20番3号
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| TEL
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–
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| 会社設立
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2009年02月23日
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Jグランド株式会社の決算情報チェック & 業界平均との比較
まず、当サイトに掲載しているJグランド株式会社の決算(2025.11時点)を見てみましょう。
この数字だけを見ると、上場企業子会社だから財務の健全性が高い、と、素直には言えない内容です。
企業の財務の健全性が見える「BS」を見ると、純資産4億円台に対して総資産が84億円と大きく、自己資本比率が7.84%とかなり低い水準です。
当サイト掲載企業は、不動産クラウドファンディングを開始したことで総資産が膨らみ(投資家の資金で物件を所有しているため)、自己資本比率が実態より低く見えている企業が多いため、その平均よりも低いというのは、決して褒められた水準ではありません。
ただし、この表では出てきませんが、不動産を担保としていないと想定される「長期借入金」が26億円あります。
本来買取再販業態では、自己資本を大きく超える融資が受けられませんが、この長期借入金や親会社の信用保証なども加味して、資金調達をすることができる可能性がありますので、この見かけほど、過度に財務面での心配をする必要はないかと思います。
とはいえ、親会社が増資をする余地もあるわけですので、今後この決算数値がどうなっていくかは、注目しておくべき部分かと思います。
次い企業の稼ぐ力が現れる「PL」を見ると、これも、特に利益率が高いわけではなく、特別に強い仕入れ・販売チャネルを確立している、ということまでは言えなさそうです。
とはいえ、毎年売上高を大きく伸ばしており、仕入れ力・販売力自体は期待できそうです。
とはいえ、ファンド運営をする際に、この粗利率が低いと、市況悪化時にファンドで損失が出る可能性も高まってしまいますので、今後、売上高総利益率や営業利益率が向上していくのか、この点も注目していきたいと思います。
※決算の見方については、別記事「
不動産クラウドファンディング事業者の決算チェックポイント」で解説していますので、興味を持った方はご欄下さい。
Jグランド株式会社 決算情報(BS)
| 項目
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2024年12月31日
|
2023年12月31日
|
2022年12月31日
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全サービス平均
|
| 総資産
|
84億8,416万円
|
84億9,442万円
|
43億6,017万円
|
–
|
| 純資産
|
6億6,541万円
|
3億4,335万円
|
1億1,982万円
|
–
|
| 自己資本比率
|
7.84%
|
4.04%
|
2.75%
|
20%
|
運用中資産規模 AUM(※)
|
6,500万円
|
–
|
–
|
–
|
| AUM÷純資産
|
0.1
|
–
|
–
|
9.88
|
| 現預金
|
4億2,537万円
|
4億5,827万円
|
1億1,946万円
|
–
|
| 現預金比率
|
5.01%
|
5.4%
|
2.74%
|
9.68%
|
※直近1年間のファンドの募集額に運用期間(年換算)を乗じることで、現在運用中ファンドにおける投資家からの出資金規模を算出。(当サイト独自指標です)
Jグランド株式会社 決算情報(PL)
| 項目
|
2024年12月31日
|
2023年12月31日
|
2022年12月31日
|
全サービス平均
|
| 売上高
|
93億2,885万円
|
63億5,284万円
|
29億3,174万円
|
–
|
| 売上総利益
|
13億9,734万円
|
8億6,995万円
|
2億6,537万円
|
–
|
| 売上総利益率
|
14.98%
|
13.69%
|
9.05%
|
25.11%
|
| 営業利益
|
5億2,305万円
|
2億6,010万円
|
9,832万円
|
–
|
| 営業利益率
|
5.61%
|
4.09%
|
3.35%
|
7.13%
|
| 経常利益
|
3億8,120万円
|
1億4,738万円
|
5,643万円
|
–
|
| 経常利益率
|
4.09%
|
2.32%
|
1.92%
|
4.26%
|
※2025年11月時点。比較対象は当サイトが収集対象としている「管理人が投資対象候補としたい厳選41サービス」の平均値です。
まとめ:Owner’s Siteとは?
現時点では、「これ」といった特別な強みや特徴を見出すことができませんでしたが、運営企業の本業ノウハウがファンドに生かせる業態ですし、親会社の資金力も加味すれば、運営企業の財務面での懸念も大きくはありませんので、堅実な一棟アパート投資型ファンドなどが組成されるようなら、投資家の分散投資先としての価値は十分にあると思います。
また、運営企業は一棟マンションの開発も手掛けていますので、将来はTASUKIやNINE FUNDのような開発型ファンドの組成も期待できるかもしれません。
今後のサービスの更なる成長を期待したいと思います。
最後に
ここまでOwner’s Siteの魅力と留意点をご説明しました。
不動産クラウドファンディング投資は堅実な利回り投資が期待できる投資商品ですが、万が一の運営事業者の倒産リスクの可能性も踏まえ、分散投資が非常に重要になりますので、新たな投資先候補として検討されるのは、いかがでしょうか?
なお、当サイトではリスク分散の観点で、複数のサービスに対する分散投資を強く推奨しており、投資先サービスやファンド探しに役立つ情報の収集、掲載に努めていますので、他サービスについても是非ご確認下さい。
Owner’s Siteは不動産特定共同事業法に基づき提供される投資型クラウドファンディングサービス
Owner’s Siteは、不動産特定共同事業法(以下、不特法)に基づき厳しい規制やルールのもとで提供される、投資型クラウドファンディングサービスです。
不動産クラウドファンディングとは、「不動産特定共同事業法(以下、不特法)」という法律に基づき、国土交通省・都道府県から許可または登録を認められた事業者のみが投資家に提供可能な投資商品であり、以下のようなメリット・強みを持つサービスです。
不動産クラウドファンディング投資のメリット・強み
- 株式のような値動きがなく、堅実な配当利回りが期待できる
- 出資金の使途は対象不動産運営に関するものに限定し、リスクを限定
- 優先劣後構造で、ファンドで損失が生じてもまず事業者が負担
- 契約書は行政の審査を経ており、不当に不利な心配がない
- 面倒な不動産運用はファンド運営事業者にお任せ
- ただし元本保証はないため、複数サービスへの分散投資は重要!
不動産特定共同事業法は厳しい投資家保護のためのルールを定めているため、サービスやファンド運営を行う事業者は全て、このルールに従って投資家保護に取り組んでいます。
(上記のうち、優先劣後構造については厳密には法律に定める義務ではないため、ヤマワケエステートなど一部該当しない事業者が存在します。)
「Owner’s Site」についても当然、サービス提供事業者は国土交通省の許可を取得しており、サービスやファンド運営についても行政の監督を受けています。
(Jグランド株式会社:不動産特定共同事業 金融庁長官・国土交通大臣 第136号)
不動産クラウドファンディングに共通する特徴や制度については本サイトの
「不動産クラウドファンディングとは?」で解説していますので、ご確認ください。
鈴木 万里夫(仮)
株式投資歴20年以上を経た後、株式・投資信託との分散投資先として不動産クラウドファンディング投資をスタート。
不動産クラウドファンディング投資実績30ファンド / 3,000万円以上。今後もコンスタントに年間10ファンド程度に分散投資を継続予定。
投資検討のために自身が欲しい情報を集約できる投資サポートサイトとしてInvestor’s EYEを企画し、現在管理人として運営中。
【保有資格】 不動産証券化協会認定マスター / 宅地建物取引士