業界初?複数の事業者のファンドに分散投資可能な不動産クラファンプラットフォーム専業サービス
LIFULL不動産クラウドファンディングは、上場企業グループ「株式会社LIFULL Investment」が2024年8月にスタートした不動産クラウドファンディングプラットフォームです。
これまでの不動産クラウドファンディングサービスでは、ファンドを運営する事業者が自らWebサイト(サービス)を運営、または、関係性の深い事業者のサービスを通じて資金調達を実施していました。
そのため、1つのサービスに会員登録をしても投資可能なファンド運営事業者は極めて限定的でした。
不動産クラウドファンディングの多くが倒産隔離が実施されておらず、運営事業者の倒産リスクがファンド運営や保有資産に影響を与えることから、
投資先事業者の分散が非常に重要だったのですが、そのためには複数のサービスに会員登録をする手間が必要でした。
本サービスに優良なファンドを組成するファンド運営事業者が本サービス上に増加していけば、投資家にとっては1サービス上で分散投資が可能になります。
加えて、サイトを運営する株式会社LIFULL Investmentは自らファンドを運営せず、
掲載する事業者やファンドを審査することで、厳選された良質なファンドを集め、投資家からの資金調達を媒介する業務に特化するという考え方のようですので、今後多様な事業者やファンドの登場が期待できそうです。

2024年9月5日時点ではまだ募集予定ファンド情報が1ファンドしかありませんが、LIFULLグループの知名度と業界ネットワークを活用してサービスが成長していけば、非常に面白いサービスになることも期待できるのではないでしょうか?
ポイントをまとめると、サービスの主な特徴は、以下の通りです。
LIFULL不動産クラウドファンディングの特徴
- 自らはファンドを運営せず、多様な事業者のファンドに投資可能なプラットフォーム専業サービス
- 上場企業グループの株式会社LIFULL Investmentの審査を通過した厳選されたファンドのみ
- 1サービスへの会員登録、デポジット口座入金で複数事業者のファンドに投資可能
- 審査済みの厳選ファンド & 多様な事業者に分散投資できるため、リスク分散が可能
LIFULL不動産クラウドファンディングのデポジット口座なら信託保全で安全に出入金の手間を軽減
不動産特定共同事業法のルールで、LIFULL不動産クラウドファンディングのような媒介事業(不特法2号事業)では、投資家のお金を預かる(デポジット口座)場合に、事業者の倒産時に預かった資産が破産債権等に組み込まれないよう、信託銀行に預託し、信託保全することが義務付けられています。
万が一株式会社LIFULL Investmentするような場合にも信託保全された投資家の元本は投資家が優先的に返還することを求めることができますし、その返還交渉の窓口をになう受益者代理人となる弁護士も選任されているはずです。
そのため、デポジット口座に預けた資金は、株式会社LIFULL Investmentの倒産に巻き込まれるリスクを極めて抑制されています。
(厳密には、不特法のルール上信託保全の周期は週1回以上といった定めとなっているため、信託保全されず株式会社LIFULL Investmentの口座に資金がおかれている期間は残りますが。)
投資家の出資金は、基本的には2号事業者(株式会社LIFULL Investment)が管理している期間はわずかな期間であり、実際にファンドを運営する1号事業者が出資金を元にファンド運用を行うことになるため、2号事業者の信用リスク影響は大きくはないのですが、
ファンド償還後、次の投資先を探すまでの期間の安全性が高められる仕組みとなっていることで、デポジット口座の価値が高い仕組みとなっている点はサービスの魅力の一つと言えるのではないでしょうか。
余談ですが、実は不特法1号事業にはデポジット口座で投資家資金を預かることを認めないという解釈が一般的です。(都道府県により解釈が異なるのか、一部デポジットに近い仕組みを提供しているケースがある気もしますが、指導が入っているのかじょじょに減っているような気もします。)
そして、デポジット口座に預かった資金を信託保全する義務も、不特法1号事業者にはありません。
つまり、1号事業者に投資後、ファンドの運用が終了し、投資家に償還されるまでの期間の資金は、事業者の倒産時に影響を受ける可能性がある仕組みとなります。
(信託保全を明示しているサービスの場合は別ですが)
そのため、管理人は1号事業者の運用終了時には速やかに自分の口座への出金を行うのですが、LIFULL不動産クラウドファンディングの仕組みなら、次の投資タイミングまでデポジット口座に入れておけますので、運用の手間がちょっと楽になりますし、振込手数料のかかる口座を利用している方にとっては、手数料の負担軽減にもつながりますね。
ファンド運営者の自主審査に加えて、上場企業グループによる第三者審査と情報開示に基づき投資判断が可能
不動産特定共同事業法のルールでは、2号事業者がファンドの媒介を行う場合、ファンドの審査を行い、その結果を業務管理者が確認した上で審査結果を開示する義務があります。
ファンド運営事業者が自ら投資を募る場合は、自主審査結果に基づく審査と情報開示となるため、第三者によるチェックを受けていません。
ところが
LIFULL不動産クラウドファンディングでは、株式会社LIFULL Investmentが運営企業やファンドの審査を行い、審査結果を開示してくれます。
もちろん不動産投資ビジネスですので、リスクがゼロというわけではなく、元本保証もない(株式会社LIFULL Investmentによる損失補填も禁じられています)のですが、
情報の透明性や信頼性が高まる点には大いに期待したいところです。
管理人は株式会社LIFULL Investment社のセミナーで審査基準や開示の考え方などを質問させていただいたのですが、法律上義務のある範囲の情報開示に限定せず、投資家にとって必要な情報は積極的に開示する姿勢を感じました。
投資先はLIFULLではなく、あくまでファンド運用事業者である点については留意
上場企業グループが運営するLIFULL不動産クラウドファンディングサービスですが、
投資先はあくまで、ファンドを運営する事業者です。
例えば、1号ファンドとなる「【みんシェア ヘルスケア1号】兵庫県加古川市グループホームファンド」は、これまで「みんなでシェアファンド」ブランドでコーシンホーム株式会社が運営するファンドになります。
そのため、運営事業社の信用リスク自体は、「みんなでシェアファンド」と同等と言えます。
ただし、
LIFULL不動産クラウドファンディングサービスで扱うということは、株式会社LIFULL Investment社の審査を経ている、という点が「みんなでシェアファンド」との違いとなります。
サービスのコンセプトが「事業者リスクの分散」であり、元本棄損リスクをゼロにすることはできません。
分散投資により万一の際の損失を限定するサービスですので、本サービスを利用する場合も、投資先事業社の分散は心がけて投資検討をしていくことをお勧めします。