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不動産クラウドファンディングの利回り競争はどこまで続く?

【2025年6月7日 12:30 PM】
当サイトは、不動産クラファン投資家に必要となる情報をワンストップでサポートするサイトをめざして2024年の5月中旬に運営をスタートしました。
サイト開設から約1年が経過したこのタイミングで、不動産クラファンの利回り競争について、現状を確認してみました。

不動産クラファンの想定利回り変遷 ①全体像

当サイトに掲載する36サービスのファンドデータから、大きな傾向から外れる一部ファンド(※)のデータを除いた、「募集時想定利回り」の散布図を作成しました。
一目瞭然で、2023年以降に急激に高い利回りのファンドが増加しています。

※運用期間中に譲渡することで想定利回りが跳ね上がるリセールファンドと、クラファン黎明期から高い利回りを継続しているFANTASのデータを除外しています。その他、当サイトのシステム上正しく取り込めていない古いデータも除外されています。
不動産クラファン利回り変遷 ①全体像
不動産クラファン利回り変遷 ①全体像

この変化に対して、実際の不動産の収益力自体があがった、という事実はあるのでしょうか?
管理人個人としては、そんなことはないのでは、と感じます。
コロナからの回復でオフィスの都心回帰やホテルの収益大幅増などの要因はあるものの、レジや物流の不動産賃料は、ここ最近やっと上昇傾向に入った、という状況。
一方で建築原価や都心部好立地の地価高騰で、開発原価はここ数年で1.5倍以上に増えた、という状況ですので、建物を建てれば単純に儲かる、といった状態でもなく、各社が創意工夫をして、得意なアセットに磨きをかけてなんとか利益を上げ続けている状況、ではないかと思います。

そのような環境の中、不動産クラファンにおいて高利回り案件が増えた要因は、比較的安定性の高い、賃料をベースとした配当を行うインカム型ファンドが主流だった当初から、より高い利回りが出せるよう、ファンドタイプが大きく変化したからではないでしょうか。
例を挙げるだけでも、一昔前なら、「これで本当に投資家が集まるの?」「これを100%イグジットして、利益確定できるの?」と、業界人が驚くような事業を行うファンドがどんどん登場してます。思いつくだけでも、本当に多くの事例が上げられてしまいます。

・共有持分や地上げ(隣地買い増しが必要)など、事業難易度や流動性課題があるファンド
・融資がつきにくいリゾートなど、固有のノウハウが必要な開発型事業を不慣れな事業者が行うファンド
・難易度の高い不動産を転売する買取再販ファンド
・旧耐震かつ借地権付き築古建物を扱うインカムゲイン型ファンド
・オペレーターリスクが高く、バックアップオペレーターの備えもないファンド
・蓄電池やデータセンターなど、流通市場や市場価格のトラックレコードが不十分なファンド
・海外不動産のため価格妥当性やビジネスの蓋然性、現地の法規制などが理解しにくく、為替リスクがあるファンド

また、運営事業者の資金調達が不動産クラファンに偏り、不動産クラファンにおいてリファイナンスができないような状況が生じた場合に、経営への影響が大きくなっているサービスの数も増加しています。

※当サイトのサービス一覧においては、「ファンド依存リスクスコア」という形で影響の大きさの可視化を試みています。スコアリング方法は、サイト左上での「※評価スコアについて(?)」をクリックしてご確認下さい。

当サイトは運営当初から、「不動産クラファン業界は玉石混交」という認識を前提に、運営事業者やファンドの特性やリスクを踏まえて投資先を選ぶこと、分散投資を行うことを推奨しております。
不動産クラファンにおいて、元本棄損や償還延長が起きるリスクは、今後も発生するでしょう。

とはいえ、現在複数のサービスで運用延長や償還遅延が生じているとはいえ、業界の状況が、今、変わったわけではありません。
堅実に投資家保護を志向し、リスクとリターンのバランスの最適化を図っているサービスも多く存在していると思います。
運営事業者やファンドの特性やリスクを踏まえて投資先を選ぶこと、分散投資を行うことで、投資家個々のリスク受容度にあったサービス、ファンドを選定していれば、実質年利4%~8%程度の資産運用をめざせるのではないでしょうか?

管理人個人の感覚では、安定性の高いファンドは募集額が小さいことも多く、不動産クラファンだけに固執すると資金を遊ばせてしまうケースも有りますが、今後も株や投資信託、債権など、不動産クラファンをポートフォリオの一部と捉えてうまく活用していければ、と考えています。

不動産クラファンの想定利回り変遷 ②ヤマワケエステートの功罪

不動産クラファンで利回り競争が激化した要因の中には、ヤマワケエステートが登場したことの影響も大きいのでは、と感じましたので、先ほどの散布図で、ヤマワケエステート分だけを抜粋してみました。
先ほどの散布図と見比べていただけば一目瞭然、業界全体の平均利回りを大きく上回っています。
不動産クラファン利回り変遷 ②ヤマワケエステート
不動産クラファン利回り変遷 ②ヤマワケエステート

当初は8%といった、他サービスと大差のない水準のファンドもありましたが、募集規模やファンド組成数の拡大とあわせて、利回りも急上昇しました。
2025年に入り経営体制見直しなどもあり、複数の償還遅延なども経て、現在は利回り水準を大きく下げていますが、扱っているファンドタイプはこれまで通りであり、ファンドで行う事業の安全性を上げた、というよりは、審査にコストをかけて、過去に存在した不適切事例の再演防止が図られた状態、と見るのが良いのではと思います。

次に、ヤマワケエステートを除いたサービスの散布図もご覧ください。
ヤマワケエステートを抜きにしても、不動産クラファン全体の利回り向上傾向が確認できます。
特に注意したいのは、10%弱から12%くらいの利回りを状態的に提供するサービスが、ヤマワケエステート以外にも出ているということです。
高いリターンを狙える不動産ということは、「将来想定する出口価格よりやすく仕入れられるだけの理由」があるという前提で投資判断はすることが必要でしょう。

もちろん、安く仕入れられる理由には、「相続税の支払いを迫られ、急ぎ現金化をしたいために売り急いだ」といった、不動産あるあるなシンプルなケースも有りますので、全てがハイリスクとは限りませんが、他事業者と仕入れで競り合う状態になれば、そうそう不動産を安く仕入れられるというものでもありません
「都心の人気立地」「観光バブルのメッカ」といった土地は儲かるイメージがあるかもしれませんが、事業の蓋然性が高いものは当然入札参加者、競合事業者も多数買付に来るわけですから、相場より安く仕入れるには、余程の営業努力や関係性が必要ですので、立地が良ければ儲かるというような単純なものでもありません。

一つ一つ、ファンド個々の中身を見ていくことが重要ではないでしょうか。

不動産クラファン利回り変遷 ③ヤマワケエステートを除く
不動産クラファン利回り変遷 ③ヤマワケエステートを除く

鈴木 万里夫(仮)
株式投資歴20年以上を経た後、株式・投資信託との分散投資先として不動産クラウドファンディング投資をスタート。
不動産クラウドファンディング投資実績10ファンド / 1,000万円以上。今後もコンスタントに年間10ファンド程度に分散投資を継続予定。
投資検討のために自身が欲しい情報を集約できる投資サポートサイトとしてInvestor’s EYEを企画し、現在管理人として運営中。
【保有資格】 不動産証券化協会認定マスター / 宅地建物取引士

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